3. 住民税課税世帯「年代別の割合」を比較
2024年7月5日に発表された厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」から、年代別の住民税「課税世帯」の割合を確認していきます。
このデータには「不明な世帯」が一定数含まれるものの、住民税「課税世帯」および「非課税世帯」の年代ごとの傾向をつかむヒントとなるでしょう。
各年代における住民税課税世帯の割合は以下の通りです。
- 30歳代:88.0%
- 40歳代:90.0%
- 50歳代:86.4%
- 60歳代:78.3%
- 70歳代:64.1%
- 80歳代:47.5%
- 65歳以上:61.9%
- 75歳以上:50.9%
40代を境に年代が上がるほど住民税課税世帯の割合が減少していることが分かります。この傾向から、高齢になるほど住民税非課税世帯が増加していることが考えられます。
高齢者世帯が主に公的年金を収入源としていることが背景にあることは確かでしょう。年金収入のみで生活する場合、現役世代と比較して収入が低くなる傾向があり、その結果、住民税が非課税となるケースが増えていくのです。
さらに、年金収入は給与収入に比べて控除額が大きく設定されているうえ、遺族年金や障害年金は住民税の課税対象外となっています。
こうした要因から、高齢者世帯が住民税非課税世帯に該当しやすいと言えるでしょう。
なお、国や自治体からの各種給付や支援の基準として、しばしば「住民税非課税世帯であること」が求められますね。そこで次では、2024年11月に閣議決定した住民税非課税世帯を対象とする「3万円の給付金」について公表されている内容を紹介します。
注1:全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
注2:総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
注3:住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む。
4. 住民税非課税世帯への3万円給付
2024年11月22日「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が閣議決定されました。ここでは物価高による負担感が大きい低所得世帯に対する給付金の支給が盛り込まれています。
給付額は1世帯あたり3万円を目安とし、対象世帯のうち子育て世帯については、子ども1人あたり2万円が加算されることも公表されています(※)。夫婦と子ども3人の5人家族の場合、支給総額は9万円となります。
※給付額の考え方
2人以上の低所得世帯の消費支出の増加幅(食料品、エネルギー価格高騰によるもの)のうち、賃上げや年金物価スライド等で賄いきれない金額として、3万円を支援。子育て世帯については、1人あたりの給付額1.5万円(3万円÷2人)をカバーする水準として、子供1人あたり2万円を加算。引用:内閣府特命担当大臣「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~政策ファイル(2024年11月)