6月15日支給分から反映される2026年度の年金額改定により、国民年金と厚生年金は前年度から増額されます。
物価高が続くなか、「実際にどれくらい年金を受け取っている人が多いのか」が気になる人も多いのではないでしょうか。
公的年金制度は2階建てともいわれますが、特に、60歳代から80歳代にかけては、働き方や家族構成、現役時代の収入差などによって年金額に大きな個人差が生まれます。
また、高齢になるほど住民税非課税世帯の割合が増える傾向も見られ、シニア世代の家計状況には変化がみられます。
5月から6月にかけては、「年金額改定通知書」や「年金振込通知書」が届く時期でもあります。自身の受給額や天引き内容を確認するきっかけとしても重要なタイミングといえるでしょう。
今回は、60歳〜89歳までの国民年金・厚生年金の平均受給月額を年齢別に整理しながら、シニア世代の住民税課税状況についても見ていきます。
1. 2026年度の年金額改定、6月支給分からどう変わる?国民年金・厚生年金の改定額
公的年金の受給額は、毎年度、賃金や物価の変動を基に見直されます。2026年度においては、前年度と比較して国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げとなることが決まりました。
この新しい改定率は、2026年6月に支給される「4月・5月分」の年金から反映されます。すでに年金を受け取っている方には、6月の支給タイミングに合わせて、日本年金機構から改定後の新しい年金額が記載された通知書が送付される予定です。
1.1 2026年度における国民年金(満額)と厚生年金(モデル夫婦世帯)の金額例
2026年度の国民年金・厚生年金の支給額例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分)(※1):7万608円
- 厚生年金:(夫婦2人分)(※2):23万7279円
※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金の満額は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。
※2 厚生年金は、夫が平均的な収入(平均標準報酬月額45万5000円、賞与含む)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
1.2 6月に届く「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」とは
年金をすでに受給している方のもとへ、毎年6月に日本年金機構から「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」が届きます。
年金額改定通知書:今年度(4月分以降)の年金額がいくらになるかを確認できる書類です。
年金振込通知書:年金から天引き(特別徴収)される税金や社会保険料の内訳、そして実際に口座に振り込まれる手取り額(振込額)が記載されています。
1.3 年金からの天引き(特別徴収)の内訳がわかる「年金振込通知書」
老齢年金から天引きされる税金・社会保険料
- 介護保険料
- 公的医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)の保険料
- 個人住民税および森林環境税
- 所得税および復興特別所得税
このように、年金からも現役で働いていたときと同じように、介護保険料や医療保険料、住民税、所得税などが特別徴収(天引き)されます(※)。
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できる金額は、あくまで税金などが引かれる前の「額面」の見込み額です。実際に受け取る手取り額はそれよりも少なくなる点に注意が必要です。
※ただし、年金の受給額が年間18万円未満の場合など、天引きの対象とならないケースもあります。
著者
ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格(証券外務員一種)
一種外務員資格(証券外務員一種)、3級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP3級)を保有。日本大学国際関係学部卒業後、東洋証券株式会社に入社。国内外株式、債券、投資信託、保険商品の販売を通じ、主に個人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。特に中国株式、投資信託の提案を得意とし、豊富な金融知識を活かした顧客ニーズに沿う提案が強み。現在は個人向けに資産運用のサポート業務を行う。また、専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」でも執筆を行う。(2026年7月12日更新)
監修者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部 公開室
元・厚生労働省担当記者(社会保障専門紙)
中央大学法学部を卒業後、東証プライム上場IT企業での法人営業を経て、厚生労働省記者クラブに所属する行政・自治体向けの社会保障専門紙記者として活動。
現在は「公的社会保障制度(年金・医療・介護)」の仕組みと、「私的資産形成(NISA・iDeCo)」の税制優遇制度を横断的に分析し、生活者のための家計防衛術を提供する編集者として活動している。
各省庁が公表する難解な一次情報(e-Gov法令検索の条文データや、総務省統計局の家計調査など)を読み解き、現役世代からシニア層までを対象に、事実に基づいた実用的な解説記事を継続的に執筆している。
このほか、専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも情報を発信している。
【経歴・専門性】
前職の専門紙記者時代には、厚生労働省本省および各地方自治体(保険者)を直接取材対象とし、現場の最前線で以下の重要政策の決定プロセスと一次情報に触れてきた。
これらの政策取材を通じ、「制度の複雑化が引き起こす、生活者のサイレントな不利益(申請漏れや制度の不知による経済的損失)」の構造を実務レベルで把握。役所の論理で構築された難解な制度設計を、IT企業時代に培ったデータ分析手法と掛け合わせることで、客観的指標(平均値ではなく中央値を用いた実態把握など)に基づく解説記事を執筆している。
【具体的な実績・保有資格・メディア掲載歴】
公的機関の一次データに依拠した客観的な記事執筆により、Yahoo!ニュース「経済ランキング」において多数の1位を獲得。具体的な執筆・担当領域における実績は以下の通りである。
- 公的年金・給付金領域:日本年金機構の公表資料に基づく「在職老齢年金による支給停止基準」や「年金生活者支援給付金の受給要件」の解説。また、国税庁のガイドラインに沿った定額減税や各種給付金の対象者判定フローの実務的整理。
- 医療・介護保険領域:高額療養費制度などの自己負担限度額の算出方法や、公的保障のセーフティネット範囲の図解解説。
- 資産運用領域:金融庁のNISA特設サイトや、iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)のデータに基づく税制優遇メリットの数値化。特定の金融商品の購入推奨は行わず、公的年金の不足分を補うための長期積立投資の制度整理に特化。
- 貯蓄・家計管理領域:家計調査などの官公庁統計データに基づいた、年代別・世帯年収別の貯蓄実態の論理的解説、およびインフレ時代におけるリスク管理手法の情報提供。
- 保有資格・実務知見:東京商工会議所 ビジネスマネジャー検定試験®合格。上場企業での実務経験と当資格で培った「組織マネジメント」や「コンプライアンス・リスク管理」の視点を個人の家計防衛に転用し、ビジネスパーソンが納得できる論理的な解説の裏付けとしている。
【読者へ提供する価値と発信理念】
「役所の論理ではなく、生活者の視点で制度を翻訳する」ことを発信の基本理念としている。
複雑怪奇な社会保障制度においては、制度を知らないこと自体が直接的な経済的損失に直結する。この情報非対称性を是正し、「知っていれば救われたはずの人が損をする現状をゼロにする」ことが現在の活動における最大のミッションである。
そのため、記事執筆にあたっては個人の主観や推測、投資推奨は避ける。
そのうえで、読者の生活や資産に影響を与える領域であることを自覚し、読者が「国に頼りすぎず、国を賢く利用する」ための正確で安全な判断材料を提供し、生活者とその家族を守るための実用的な知見を届け続けている。
(2026年7月13日更新)