3.3 在職老齢年金制度の影響
年金受給者が給与収入もある場合、月の収入合計額によって年金の受給額が調整される「在職老齢年金制度」の対象となります。
せっかく年金額を減額させて繰上げ受給をしたとしても、調整されて受け取れない可能性もあるので、60歳以降の収入と調整額はしっかりと確認してから繰り上げを決定するようにしましょう。調整により年金が受け取れなかった場合にも、繰上げて減額された年金額は増えることはありませんので注意してください。
4. おわりに
年金の受給開始年齢を決めるには、健康状態、家族構成、就労状況、資産状況など、様々な要素を総合的に考慮する必要があります。
60歳での繰上げ受給が最適な選択肢となるケースも多くありますが、一概に正解とは言えません。
重要なのは、自身の状況をよく分析し、長期的な視点で判断することです。必要に応じて、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも有効です。
年金受給開始年齢の選択は、総合的な老後の生活設計の一部として捉え、柔軟に対応していくことが大切です。年金制度は複雑で、常に変化しています。定期的に最新の情報を確認し、必要に応じて計画を見直すことで、より豊かな老後生活を実現していきましょう。
参考資料
- 内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況(第2節 2)」
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
- 日本年金機構「失業給付・高年齢雇用継続給付の手続きをされた方へ リーフレット」
斎藤 彩菜