4. 敬老パスの申請方法
敬老パスの申請は、基本的に自治体から送られてくる申請書などの書類に必要事項を記入して返送し、ICカードなどの到着を待つだけです。ここでは、神戸市の申請手順を例に紹介します。申請手順は以下のとおりです。
- 満70歳になる前に市から郵送される申請書を受け取る
- 届いた申請書に必要事項を記入して郵便ポストへ投函するか、電子申請で送る
- 満70歳の誕生日の前月下旬に届く敬老パスを受け取る
ただし、自治体によっては市区町村の窓口で申請したり、ICカードなどを買い求めたりする必要があります。申請時には、住んでいる自治体の申請方法をよく確認してから、手続きに入りましょう。
では、敬老パスを使うと、年間いくらくらいお得になるのでしょうか。次章で見ていきましょう。
5. 敬老パスは本当にお得?いくらで元が取れるのか
敬老パスで年間どれくらいお得になるのかは、自治体ごとに定められている負担金や運賃によって異なります。
たとえば、名古屋市の場合は敬老パスの利用で市バスや地下鉄が無料で乗れます。また、敬老パスの負担金は1000〜5000円です。
負担金が5000円の場合は、運賃300円の区間を9往復すれば元を取れます。普段バスや地下鉄などを使う区間の運賃にもよりますが、月1回以上区間を往復するのであれば敬老パスを申し込んだほうがお得でしょう。
また、札幌市の敬老パスは前述のとおりポイントをチャージして公共交通機関を利用するタイプのものです。チャージ額は最大7万円となっており、最低でも負担金の約4倍以上の金額が利用できます。
- 負担金1000円:チャージ額1万円
- 負担金3000円:チャージ額2万円
- 負担金6000円:チャージ額3万円
- 負担金8000円:チャージ額4万円
- 負担金1万円:チャージ額5万円
- 負担金1万3500円:チャージ額6万円
- 負担金1万7000円:チャージ額7万円
実質無料で最大5万3000円分のポイントがチャージされるため、市バスや地下鉄を使う人にとってはお得といえるでしょう。
6. まとめにかえて
敬老パスは、高齢者の外出支援や社会参加を補助する公的サービスです。負担金の元を取りやすいうえ、頻繁に公共交通機関を使う人ほどお得になるサービスといえるでしょう。
一方、費用負担の少なさから自治体で財源を用意するのが難しく、負担金の増加や事業廃止などを進める自治体もあるようです。
また、自治体ごとに独自性あるサービスが生まれていることから、公平性に欠けることも懸念されています。高齢者へ行き届いた支援が行われるよう、今後の事業のあり方については注視していく必要があるでしょう。
参考資料
- 内閣府「「国民の祝日」について」
- 横浜市「敬老特別乗車証(敬老パス)」
- 札幌市「敬老優待乗車証(敬老パス)」
- 仙台市「敬老乗車証」
- 名古屋市「敬老パスの交付」
- 大阪市「70歳になったら敬老優待乗車証(敬老パス)が利用できます」
- 鹿児島市「敬老パス」
- 川崎市「高齢者外出支援乗車事業」
- 川崎市「高齢者フリーパスの購入方法について知りたい。」
- 札幌市「健康寿命の延伸に向けて 敬老優待乗車証制度をより良い制度へ」
- 神戸市「敬老優待乗車証(敬老パス)」
石上 ユウキ