5. 老後に向けた準備を
1回あたりの年金額が約46万円であっても、安心できないことが多いです。特にインフレに関しては、見逃しがちな問題点のひとつです。
今年内閣府が発表した物価上昇率の見込みは2.5%でした。これは何を意味するかというと、このペースで物価が上昇し続けた場合、約28年後には物価が倍になるということです。
これに対して普通預金の利息は年利で約0.001%です。28年後は倍の生活費がかかる一方で、預金だけではその分を確保するのが難しいという現状といえます。
大事なのは、お金の預け先をバランスよく配分することです。すぐに使うお金は銀行預金へ。10年後以降に使うお金、20年後以降に使うお金は物価の上昇に負けない金利のところへ振り分けることを意識しましょう。
株、投資信託、債券、保険、不動産、仮想通貨など今は色々なお金の運用方法が出てきました。
「物価上昇に負けない運用」を意識してみるといいでしょう。
6. まとめにかえて
今回は年金の基礎的な仕組みから、家庭によってもらえる年金の違いや標準夫婦の年金でも安心できない点なども見ていきました。
資産運用を行う方法もさまざまですが、大事なのはご自身に合った運用方法かどうかということです。
筆者も毎日資産運用のご相談を受けますが、この運用方法が一番良いというものはありません。個人の考え方や理解度によって運用方法は多種多様に変わります。老後を迎えるまでの年数によっても変わります。
まずは「ねんきん定期便」などからご自身の年金を確認しつつ、豊かな老後生活を迎えられるように早めに準備を始めていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
渡邉 珠紀