4. 家族で考えたい夫婦のキャリア
少子化問題は深刻であり、共働きしやすい環境の整備は重要な要素となります。
育休中の手当や保育園の整備などは、確かにニーズの高い課題です。
一方で、必ずしも共働きが必要でない家庭や、あるいはできない家庭があるのも忘れてはなりません。
どちらが望ましいという議論は分断を招くものであり、実際には家庭で異なるのが自然な流れだと言えるでしょう。
なお、キャリアを考える上で何を優先するべきかは人によって異なるべきところですが、「長い目で選択する」ことは押さえておくべきです。
例えば、子どもが小さいうちは子どもとの時間を大切にしたいという方がいました。
とても重要な選択ですね。しかし、後になって「現役時代の収入が老齢年金に影響する」ということを知り、短時間のパートを長期でしておけば良かった、と悔やんだといいます。
年金や老後はかなり先の話なので、あまり意識していない方は多いです。
しかし、キャリアが途絶えればその分の年金も少なくなってしまうことは、知っておいた方がいいでしょう。
もちろん知った上で行動するのであれば、後悔することもないと思います。
大切なのは制度を正しく理解した上で、最善の方法を納得して選択することです。知らなかった…ということがないよう、夫婦でキャリアについて考えておきたいですね。
5. まとめにかえて
2024年10月には社会保険適用を控え、「扶養」という制度に揺らぎが出ています。
少子化問題を受けて、今後も共働き世帯は増えていくかもしれません。
しかし、表面上の制度では語られにくい、家庭ごとの事情は確実にあります。そのような家庭も取りこぼすことなく、支援の対象となることが求められます。
政府は「これからの6年間がラストチャンス」と強調しているため、今後の議論や政策に注目していきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「武見大臣会見概要」(令和6年6月7日(金)9:38~9:47 院内大臣室前)
- 厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
- 男女共同参画局「男女共同参画白書 令和5年版 全体版(PDF版)」
太田 彩子