1.2 その2 親の介護の分担できょうだいが真っ二つ

久しぶりの帰省時に、一人で暮らす母(80歳)がだいぶ歳をとったなぁと感じた長女(50歳)、長男(47歳)。そろそろ一人暮らしは難しいかもしれないね、と二人で話し合いました。

「女親は娘に介護してもらう方が嬉しいだろ?」と一点張りの弟に「私だって自分の家庭と仕事がある。手ごろな施設に入ってもらったうえで、姉弟で平等に介護を分担するべきだ」と姉は答えたそうですが、今度は施設入所費用をどうするかをめぐり姉弟バトルはこの先も続く模様です。

「母は自分の年金と貯金で介護費用を出すつもりではいるようです。とはいえそれは在宅介護か、おそらく特養(特別養護老人ホーム)入所を前提にした計算でしょう。

特養に入れず民間の有料老人ホームに入った場合、トータルでいくらかかるかが見えにくくて不安……。母の自己資金がショートしたとき、私たち姉弟でどう分担するかある程度話し合ってからでないと、施設入所の話を母に持ちかけることはしにくいかなぁ……」と長女は言います。

「親の介護」の分担をめぐるきょうだい間のトラブルはよくある話。「一人っ子だと分担する相手がいない代わりに揉めることもなくてラクかも」という声も筆者は聞いたことがあります。さて、当の親世代はというと……。

65歳以上の約9割が「介護のお金は自分の資金から出す」という回答結果も

全国65歳以上の男女を対象にした内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」によると、将来トイレなどのの介護が必要になった時に介護を頼みたい人として「ヘルパーなど介護サービスの人(46.8%)」「配偶者(30.6%)」「子(12.9%)」「子の配偶者(1.0%)」が挙がっています。

では、介護費用についてはどうでしょう?

同調査によると、65歳以上の実に85.2%が、介護が必要となった場合介護費用を自分自身の資産から出すと答えています。

とはいえこれはあくまでも本格的な介護が始まる前の元気なシニアたちの回答。歳を重ねることで判断力が低下し、子ども世代への依存が強まったり、自分自身でお金の管理ができなくなったりする人も増えていきます。

親子ともにある程度の年齢になったら、介護が必要になったときにどうしたいか、子どもたちはどの範囲での協力ができそうかを話しておけると理想的ではあるのでしょう。