1.1 国民年金:老齢基礎年金

原則として、日本に住む20歳から60歳未満の方は全員国民年金(基礎年金)に加入します。保険料は一律で、年度ごとに改定されます。

支給要件を満たす場合、原則として65歳以降に老齢基礎年金が支給されます。

年金額の基準は毎年改定され、40年間保険料を納付すれば満額が受け取れます。2023年度の満額は月額6万6250円(67歳以下の場合)です。

1.2 厚生年金:老齢厚生年金

国民年金の上乗せ(2階部分)にあたるのが、厚生年金です。

主に会社員や公務員などの「第2号被保険者」が加入します。

保険料は報酬比例制なので、たくさん稼いだ方はその分多くの保険料が天引きされます。その分、多く稼いだ方や長く働いた方は、多くの老齢厚生年金を受け取れる仕組みです。

つまり、「標準的な夫婦」の年金額と言われても、あくまでも目安のひとつとなることがわかりますね。

本題の「標準的な夫婦」の年金額を見ていきます。

1.3 「標準的な夫婦」の年金額はいくらか

厚生労働省によると、2023年度の年金額の例は次のとおり発表されました。

  • 国民年金(老齢基礎年金):6万6250円(1人分)※1
  • 厚生年金:22万4482円(夫婦2人分)

※1 2023年度の既裁定者(68歳以上の方)の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万6050円(対前年度比+1234円)

法律の規定に基づき、新規裁定者(67歳以下の方)は前年度から2.2%の引き上げ、既裁定者(68歳以上の方)は前年度から1.9%の引き上げとなりました。

ただし、マクロ経済スライドの発令により、これでも上昇率は抑えられています。物価上昇率の方が上回るため、実際には目減りとなるでしょう。

参考:2023度の参考指標

  • 物価変動率:2.5%
  • 名目手取り賃金変動率:2.8%
  • マクロ経済スライドによるスライド調整率:▲0.3%
  • 前年度までのマクロ経済スライドの未調整分:▲0.3%

さて、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は22万4482円とされていますが、これはどのような夫婦にあてはまるのでしょうか。

資料での注釈に注目してみましょう。

”平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準”

引用:厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」

つまり、夫は40年間の収入平均が43万9000円であり、さらに妻は専業主婦(もしくは扶養内パート)で厚生年金なし、という夫婦を指すことがわかります。

共働きの有無や収入の多寡により、大きく変わるといえます。