2. 【繰下げ受給・デメリットその1】年金がアップすれば自己負担も増える

繰下げ受給をして年金額を増やすということは、税法上の「所得」が増えることに繋がります。

日本は所得が高くなるほど税金や社会保険料が高くなる「累進課税制度」をとっているため、年金を増やすとこれらの金額も上がることになります。

なお、一定以上の所得がある場合、医療費の自己負担割合が上がることも想定しておく必要があるでしょう。

たとえば医療費の自己負担割合をみてみると、70歳以上は原則2割負担。75歳以上は原則1割負担となっていますが、一定以上の所得がある場合は最大3割まで自己負担が増えます。自己負担割合が変更になる目安の所得をみてみましょう。

厚生労働省 高齢者医療制度「医療費の一部負担 ( 自己負担 ) 割合について」

  • 1割負担‥課税所得28万円未満
  • 2割負担‥課税所得28万円以上(年金収入+その他の合計所得が単身で約200万円以上、複数で320万円以上)
  • 3割負担‥課税所得145万円以上(同じく単身で約383万円以上、複数で約520万円以上)

なお、医療費だけでなく介護サービスを受ける際の自己負担でも同じことがいえます。

医療や介護にかかる支払いが1割から2割や3割になるということは見た目には大きな増額ではないように感じますが、支払い部分のみを比較すると医療費が2倍・3倍になるということですから非常に大きな数字です。