日本への好影響も

もっとも、中国経済の失速は、悪い話ばかりではありません。

中国は資源エネルギーの大量輸入国です。中国経済の失速によって資源エネルギー価格が下がり、米国のインフレが沈静化して米国の金融政策が緩和に転じれば、米国の景気後退が一層軽微なものになり得るからです。

「最もコストの安い国で作り、輸入する」この国際分業の流れが逆転してしまうと、コストの高い国で作らざるを得ません。これでは、世界経済にとって好ましくない影響も生じます。

しかし、中国に工場を建てる代わりに、日本に工場を建てる企業が出てくれば、その分は日本経済にプラスとなり得るでしょう。

おわりに

筆者は国際政治には詳しくありません。しかし中長期的にみたとき、中国経済が衰退し米中冷戦が終結すれば「平和の配当」を享受できるかもしれないと考えます。かつての米ソ冷戦がそうであったように。

そして、活発な国際分業が行われる時代が、再びやってくるかもしれません。

本稿は、以上です。なお、本稿は厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。

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塚崎 公義