4. 2022年以降のマンション価格は下落する? 上昇する?

では、2022年以降のマンション価格はどのように推移するのでしょうか。このまま上昇するのか下落の可能性があるのか、解説します。

4.1 コロナ禍で中古マンション価格はむしろ上昇する!?

2020年4月の第一次緊急事態宣言発令の際には、一時的に中古マンションの販売価格が下落したものの、すぐに回復し以前の水準に戻っています。コロナ禍でも住宅需要は強く、マンション価格は新型コロナの負の影響をさほど受けていないといえるでしょう。

むしろコロナ禍で中古マンションの売却を控える売主が多く現れ、需要に対して供給量が抑えられたことから売り手市場になっている様子が見られます。このまま売り控えが続けば、マンション価格がさらに上がる可能性もあるでしょう。

4.2 新築分譲マンション価格は高止まりの予想

先述のとおり、東京五輪の影響で建築費用が高い時期に建てられた新築分譲マンション、地価が高い時期に仕入れた土地に建てられた新築分譲マンションは、それが反映された高値で売られます。そうでなければ赤字となってしまうからです。

そのため、新築マンションの販売価格はしばらく高止まりするのではと予想されています。

さらに新築マンション価格の高騰には、デベロッパーの思惑が関係しています。

株式会社東京カンテイ「マンションデータ白書2021」のデータによると、2019年以降減少傾向にあった新築分譲マンションの供給量は、旺盛な需要を背景に増加傾向にあるものの、新型コロナ前の水準まではまだ回復していません。供給数がまだ不足していることから、価格は上昇するでしょう。

さらに日本は新築を好む傾向が強いため、需要に対して供給量があまりにも少ない場合、新築マンション価格の高騰に繋がる可能性があります。

4.3 新築マンション価格の高騰に連動する中古マンション価格

中古マンション価格は、新築マンション価格の動きに連動するのが基本です。

物件購入者の多くは、まず新築マンションを検討します。そして価格面で新築マンションの購入が不可能だった場合に、中古マンションに流れてくるのが一般的です。つまり新築マンションの価格が上がれば、中古マンション市場も連動して価格が上昇することになります。

先述のとおり、2022年の新築マンション価格は高値で推移しています。この状況が続けば、中古マンション価格も連動して上昇傾向を示すことが予想されるでしょう。

4.4 需要増による郊外物件価格の上昇傾向

新型コロナの影響で在宅ワークをする人が増え、都心から郊外へ住宅需要が移っている傾向があります。

公益財団法人 東日本不動産流通機構「サマリーレポート(2022年4~6月期)」によると、2022年に入って、すべての首都圏近郊地域において中古マンションの成約m2単価が上昇しています。2022年4~6月期においては、東京都区部だけでなく、東京都多摩地区・埼玉県・横浜市・川崎市・神奈川県他などすべての地域で前年同月比10%近い上昇率、千葉県でも7.9%の上昇です。

通勤の必要がなくなった会社員も多く、同価格でもより広い家が持てる郊外物件への需要が高まっていることがうかがえます。首都圏周辺の郊外地域のマンション価格は、しばらく上昇傾向が続くかもしれません。

新型コロナ収束後も引き続きテレワークが多くの企業に浸透すれば、高止まりする可能性もあります。