「子どもの学力格差」所得以上に大切な親の関り方

日本でも欧米のように教育研究でデータを用いて分析する手法が浸透し、客観的な視点で様々な問題を提議できるようになっています。

2018年に「江戸川大学こどもコミュニケーション研究紀要」で発表された「学力格差は幼児期から始まるか?~保育と子育ては子どもの貧困を超える鍵になる~」では、日本だけではなく、韓国、中国、ベトナム、モンゴルそれぞれの大都市圏に住んでいる3歳から5歳の幼児3000名と親や保護者を対象にした短期縦断調査結果(お茶の水女子大学・梨花女子大学・華東師範大学・ベネッセ次世代育成研究所の共同研究として実施された調査)を踏まえ、読み書き能力と語彙力は所得によって違いが生じるのか考察しています。

結論から申し上げますと、読み書き能力は日本と韓国、中国においては家庭での所得差の影響はほとんどみられないものの、語彙力では5歳で差が出始めていることが分かりました。

出所:江戸川大学こどもコミュニケーション研究紀要 内田伸子「学力格差は幼児期から始まるか?~保育と子育ては子どもの貧困を超える鍵になる~」

その一方で、収入に関係なく子どもとのふれ合いや共感を重視する「共有型」の家庭の子は語彙力が高く、子どもとの関わり方やしつけの影響が大きいことも判明しました。