4. 入門者向きの物件~4つのポイント~

では、どのような視点で物件を選べば失敗しにくいのでしょうか。ここでは、不動産投資入門者が選ぶべき物件のポイントを紹介していきます。

4.1 【ポイント①】少額で買える

少額で買える物件を選ぶ理由の1つは、万が一失敗した時の損失を最小限にすることです。

そして不動産投資初心者にとって、少額物件であっても、とにかく不動産投資家としての第一歩を踏み出すことには、大きな意味があるといえるでしょう。

実際の運用の中で、賃貸経営や不動産投資の知識・経験を得ることは非常に重要です。

物件を選ぶ際に、もう1つ気を付けたいのが「返済比率」です。

返済比率とは、収益に対してローン返済額がどの程度の割合を占めているかを示すものです。

  • 返済比率(%)=ローン返済額÷満室時家賃収入×100

上記計算式で求めることができます。

返済比率は50%以下に抑えるのが理想的とされています。返済比率が低いほどキャッシュフローが得られるので、手元に残る収益が安定し、いざという時の支出に備えることができるでしょう。

4.2 【ポイント②】管理がしやすい

管理がしやすい物件を選ぶことも大切です。

不動産投資初心者であれば、最初から遠方の物件を所有するよりは、自宅から近く、小まめに確認しに行ける距離の物件の方が安心でしょう。入居者募集から家賃回収、トラブル対応などを全て自分で行う自主管理も可能となります。

その他、管理会社がマンション全体の管理をしてくれる区分マンションも手間がかからずお勧めです。

ただし、その管理会社がしっかりと仕事をしてくれているか、必ず確認しましょう。現地調査に行く際、物件の周囲やエントランス、共有部分がきれいに保たれているかなど、細かくチェックするようにしてください。

信頼できる管理会社がついている物件を選ぶことで、入居者付けにも強くなることが期待できます。

4.3 【ポイント③】賃貸需要が高い

賃貸需要が高い間取り・地域の物件を選ぶことで、空室リスクを抑えることができます。

狙う地域によって、需要のある間取りは変わってきます。ファミリー層が多い住宅街なら2LDKや3LDKなどファミリー向けの間取り、学生が多い地域ならワンルームなど、地域と需要に合った間取りを選ぶようにしましょう。

狙っている地域の人口増減など、将来的な賃貸需要を見越すことも重要です。人口の都心集中化や大学・企業の都心回帰が進んでおり、今後賃貸需要が変化する地域もあるでしょう。

将来的な賃貸需要の高さは、厳密に判断しなければなりません。

4.4 【ポイント④】資産価値が下がりにくい

将来的な売却も視野に入れ、資産価値が下がりにくい物件を選びましょう。これは、前項の「賃貸需要の高さ」と重複する部分もあり、資産価値が下がりにくいということは、空室や家賃下落リスクをも減少させることが期待できます。

  • 複数路線が乗り入れている駅周辺
  • 再開発が行われている人気エリア
  • 駅近
  • 適切な修繕で管理が行き届いている物件

などの条件に当てはまる物件は、築年数が経過しても比較的賃貸需要をキープできる可能性が高いでしょう。いずれ売却を考えた場合、資産価値を下げずに売却することができるかもしれません。

また、人口の増減や規制から、将来の不動産市況を読み解くこともできます。

例えば、2019年に東京都が発表した「『東京都世帯数の予測』の概要」によると、東京都の単独世帯は今後増加傾向で推移し、2040年には51.2%になると予測されています。

しかし現在、東京23区ではワンルームマンションの建築規制によって、新しいワンルーム物件が建てにくくなっているのが現状です。

区によって内容はさまざまですが、一戸当たりの最低面積を25m2とする、一定戸数以上となった場合2分の1以上を50m2以上の住戸にするなどの規制が定められています。豊島区では、9戸以上のワンルーム集合住宅について1戸当たり50万円を課税する規定も設けられています。

単身世帯が増加する一方で、これらの規制によりワンルーム物件の供給が不足する可能性があるでしょう。

つまり、既存する都心の単身向け間取りの需要が今後さらに高まっていくということが読み取れるわけです。

このように、さまざまな角度から情報を集め、将来的な不動産市況を読み解く力を身に付けましょう。