3. 不動産投資の代表的な5つのリスク
では次に、不動産投資にはどのようなリスクが考えられるのか見ていきましょう。
3.1 空室リスク
物件に空室が出れば、家賃収入は減少してしまいます。ワンルームマンションなどの区分投資の場合、空室が出れば家賃収入がゼロになってしまうでしょう。
しかしローンを借りている場合、どんな経営状況であっても毎月のローン返済はやってきます。家賃収入をローン返済額が上回れば、手出しで支払わなくてはならず、赤字となってしまうでしょう。
さらに、借り手を見つけるために家賃を下げたり、募集のための広告費やリフォーム費用が追加でかかったりするなど、連鎖的に負担が増えるケースが多いです。
空室が長期化すれば手持ち資金が底をつき、物件を売却して賃貸経営を強制終了しなければならないこともあるでしょう。最悪破綻するケースもあります。
空室リスクはどの物件にもあり、100%なくすことはできません。
しかし、立地の良さや設備の充実度などを考慮して魅力ある物件を選ぶこと、購入後もリフォームや設備拡充することで競争力を上げていくことが空室リスクを抑える有効な方法です。
3.2 家賃下落リスク
建物は築年数が経過すれば老朽化が進み、家賃が下落していくケースが多いです。
2018年7月に総務省が発表した「借家家賃の経年変化について」によると、多くの地域において、経年劣化による家賃下落率は年率平均1%程度だといわれています。
新築と比べると、築10年で10%程度、築20年で20%程度家賃が下落する可能性があるということです。
経年劣化以外にも、より駅近に新築の物件が建ったり、近隣により良い条件の物件が出てきたりすると、既存物件への入居希望者が減ってしまいます。
保有物件の魅力が競合より劣っていれば、家賃の引き下げによって競争していかなければならなくなるでしょう。
このように、家賃水準は立地や物件の魅力によって決まります。
家賃が下落しにくい物件を選ぶこと、あらかじめメンテナンスや設備投資の計画を立てておくことが大切です。
3.3 災害リスク
地震や火災などにより、物件が損壊、倒壊してしまうリスクのことです。度合いによっては建て替えが必要になるなど、多額の資金を要するでしょう。
十分な資金がなく補修や建て替えができなければ、賃貸の継続ができず、多額のローンだけが残ってしまう可能性があります。
災害リスクを減らすためには
- ハザードマップを確認し、災害危険性の高い地域を避ける
- 被害を想定した補強をしておく
- 震度6強~7程度の揺れに耐えられる構造を基準とする新耐震基準の物件を選ぶ
- 火災保険、地震保険へ加入しておく
などの対策があります。
ハザードマップで水災の可能性がある地域は、水災特約を付けるなどの対策も必要でしょう。
もし複数の物件に投資をする場合は、エリアを分散するのも効果的です。
3.4 金利上昇リスク
変動金利でローンを組んだ場合、将来金利が上昇すれば返済額が増えるリスクがあります。
現在は超低金利の状態なので、今後さらに金利が下がる可能性よりも、金利が上がる可能性が高いと考えておいた方がよいでしょう。
毎月の返済額が増えることになれば、キャッシュフローが減り、赤字に転落というケースも考えられます。
変動金利の利用を考えるなら、将来的な金利上昇の可能性を見込んだ返済計画を立て、資金を確保しておくようにしましょう。
3.5 流動性リスク
先述の通り、不動産は株式のように取引市場がないため、売り手と買い手の当事者同士で売買を行います。
売りたいと思っても希望の価格で売れなかったり、時間がかかったりと、現金化しにくい特性があります。これを流動性リスクと呼びます。
このリスクは不動産を売却しようとしなければ表面化しません。
家賃収入を得ることが主な目的であれば、資金繰りが悪化しない限り物件を保有し続けることが前提でしょう。つまり、売却しなくて済むように運用できれば、問題ないということもできます。
安定的な運用をするためには、キャッシュフローが出るように工夫することが大切です。頭金を入れてローンの借入額を抑えたり、繰上返済をして月々の返済額を減らしたりするなどの対策が有効です。
慌てて売却しなければいけない状況だと、売却価格を下げざるを得ないなど損をする可能性が高くなります。
しかし、物件を保有する中で価格が上昇する好機を待って売却するのであれば、売却益を得られる可能性もあるでしょう。