今年の梅雨は長引くことが予想されています。例年より増えそうなおうち時間、「将来のお金」についてじっくり考えてみるのはいかがでしょうか。

いずれ訪れる定年退職後は、年金と貯蓄で生活することになります。老後資金の目安とされる「2000万円」を、今の60~69歳は本当に保有しているのでしょうか。

今回は、最新の公的調査等を参考にしながら、60代で「2000万円」もの貯蓄を保有する割合を見ていきます。

【60~69歳】最新データで2000万円保有する割合は32.4%

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」によると、60代で2000万円の貯蓄を達成する割合は32.4%でした。

詳しく見ていきましょう。

60代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」をもとにLIMO編集部作成

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 平均:2427万円
  • 中央値:810万円

平均は2427万円と、2000万円を超える結果になりました。同調査の令和2年度は平均1745万円だったので、大きく増えていることがわかります。

ただし、平均は一部の大きな数字に引っ張られる傾向があります。貯蓄などばらつきのある数字を見るときは、中央値の方が参考になるでしょう。

中央値が810万円であることを考えると、老後資金にしては厳しい印象を受けます。さらに、中央値ベースでは昨年の調査を下回ります。

金融資産の保有額ごとの人数割合も見てみましょう。

  • 金融資産非保有:19.0%
  • 100万円未満:6.4%
  • 100~200万円未満:4.8%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.3%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:5.9%
  • 700~1000万円未満:5.3%
  • 1000~1500万円未満:8.4%
  • 1500~2000万円未満:6.0%
  • 2000~3000万円未満:9.6%
  • 3000万円以上:22.8%
  • 無回答:2.6%

2000万円以上保有しているのは32.4%であることがわかります。

目安の2000万に到達していない世帯は約7割で、貯蓄ゼロの世帯も約2割います。貯蓄の格差が見て取れますね。

60~69歳の貯蓄事情がわかりました。では現役世代はどのような状況でしょうか。

「老後資金2000万円」備えがない会社員は6割超

株式会社ステラパートナーが2022年5月、全国20代~60代の会社員を対象に行った「老後への備えと資産形成」に関する調査によると、老後2000万円の備えができている人は少ない実態が浮き彫りになりました。

  • しっかりとできている(9.7%)
  • ある程度できている(25.6%)
  • あまりできていない(29.3%)
  • まったくできていない(35.4%)

「あまりできていない」と「まったくできていない」の合計は64.7%にも上ります。

大多数の人は準備ができていないということです。

できていない理由には、「奨学金の返済が残っている」「ローン支払いが長期になる」「給料がコロナにより減少し、毎月貯金から持ち出しが続いている」など、目の前の生活で精一杯である様子がよくわかりました。

60代になれば退職金が受け取れると考える方もいますが、現実には60代であっても2000万円の保有割合は32.4%。この金額を見る限り、老後は厳しいと言えます。

高齢者世帯「年金だけで生活する世帯」は5割以下

老後は貯蓄と年金で生活します。もし十分な貯蓄ができなかった場合、年金だけで暮らすことは可能なのでしょうか。

実は老後に必要とされる「2000万円」というのは、「年金収入だけでは不足する金額」のシミュレーション結果です。

ただし、この金額には個人差があることが予想できます。年金額は現役時代の収入や働き方で大きく変わりますし、老後の生活費も十人十色です。

そこで厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」から、年金だけで生活できている高齢者の割合を確認してみましょう。

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出所:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」

出所:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」

  • 20%未満の世帯:3.9%
  • 20~40%未満の世帯:8.1%
  • 40~60%未満の世帯:12.7%
  • 60~80%未満の世帯:14.5%
  • 80~100%未満の世帯:12.5%

「公的年金・恩給」のみで生活する世帯は48.4%となり、年金のみで生活できる世帯は半分以下ということがわかります。

参考までに、国民年金と厚生年金の平均受給額も見てみましょう。厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にします。

国民年金の平均月額

〈全体〉平均年金月額:5万6252円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9040円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4112円

厚生年金(第1号)の平均月額

〈全体〉平均年金月額:14万4366円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万4742円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万3808円

※国民年金の金額を含む

60代に向け、資産寿命を延ばす選択肢を

60~69歳の貯蓄事情と年金受給額について見ていきました。

  • 60代で2000万円を保有する割合は32.4%
  • 会社員で老後2000万円を備えられない割合は64.7%
  • 年金のみで生活できる世帯は半分以下
  • 厚生年金の平均は約14万4000円、国民年金の平均は約5万6000円

以上のことから、老後に向けていかに資産を守るかが重要になるかがわかります。

定年後も働くこと、繰下げ受給などで年金額をあげることなどもひとつです。また老後資金を貯めるペースをあげるために、資産運用を取り入れてみるのもひとつでしょう。

定年後も運用を続けることができれば、資産が目減りするペースを緩やかにすることもできます。

運用にはリスクがつきものなので、確実な情報収集が必須です。まずはどんな方法があるのかについて、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子