4. 「退職金制度」から経営者の思いが伝わる
退職金制度は長期勤続者ほど支給率が上がるため、従業員の長期勤続を促進するために設けている会社が多いと思われます。
退職金制度を維持するためには、退職引当金といって毎月、定額のお金を将来に備えて積み立てなければなりません。
利益が少なければ、退職金を維持するために社長の報酬を下げなくてはいけないこともあります。
大企業はともかく、中小企業が維持するのは大変な努力が必要です。
それでも退職金制度を設けているのは、社員の福利厚生のためという考えがありますが、社員にできるだけ長く働いてもらうことが取引先にもメリットがあるという経営者の考えが、根底にあると思われます。
社員の入れ替かわりが激しい企業は、十分に引き継ぎがされないなどの理由により、取引先も困惑してしまいます。
社員の離職率などを気にしない経営者は、自社だけが一時的に儲かれば、あとは取引先が困っても知ったことではないと考えるかもしれません。
自分の身銭を削ってでも退職金を維持しようとする経営者には、長期的に顧客との良好な関係を築きたいという経営方針があるのです。
経営者がそんな思いを持っている会社は、ブラックとは呼べないでしょう。
参考資料
佐藤 敦規