日本企業の視野は短期的・対症療法的?

世界的なコンサルティング会社の2019年レポートでは、以下の分析が行われています(「KPMGグローバルCEO調査2019」)。

「日本企業および経営層は保守的であり、目先の問題を対症療法的に解決する傾向にある。中長期的な視野に立ったゴール設定がない」。

日本で「経営の機動性は企業の存続を左右する」と考えているCEOは66%(前年度は84%)。「AIで自動化済のプロセスがある」企業は12%(米国31%)。「自社の技術戦略を自らリードしている」とするCEOは77%(米国89%)。

前述のRPAと関連しますが、以下の指摘もあります。「日本では既存の業務を変更することなく人の作業を代行できるRPAの導入が進んでいるだけであり、お金も手間もかかる業務の改革は進まない」。

耳の痛い話ばかりです。日本企業および経営者のマインドは、やはり「現状維持」にあるのかもしれません。つまり、DXの本質の“変革"とは程遠いところにある。だとすれば、DXが進行しないのも当然かもしれません。

今回のコロナ禍で露呈したさまざまな問題で、デジタル化やDXが加速すると分析する識者もいます。ただ、個人的には微妙な気もしますね。そんなふうに上手く運ぶといいのですが。

最後に、デジタル庁が起動した日本政府を見てみます。コロナ禍での対応力は、まさにデジタル敗戦国でした。たとえば「5万5千件以上ある国の手続きで、オンラインで完結できる割合は7.5%しかない」(2020年6月26日、日本経済新聞)。