デジタル敗戦国ニッポン。これは筆者が勝手に言っていることではなく、初代デジタル相の平井卓也氏が在職中の2020年10月のインタビューで語っている言葉です。かつての「e-Japan戦略」「世界最先端IT国家創造宣言」など、全てが実現できなかったと語っていました。

今回は民間部門も含めて、デジタル敗戦国ニッポンの実態について考えてみます。

RPAの誤解

どうも、日本のIT化/デジタル化は誤解だらけの気がします。その一例として、民間部門におけるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入を見てみます。

ご存じのように、RPAはソフトウェアロボットまたは仮想知的労働者と呼ばれる概念に基づく、事業プロセス自動化技術の一種です。もともとはイギリスが発祥とされ、金融機関のバックオフィスの自動化からスタートしました。

RPAという概念を生み出した英Blue Prism(ブルー・プリズム)社の日本法人が2017年に設立。同社の資料をみると、日本のRPAは誤解があるとしています。

「日本では、働き方改革、個人の生産性向上といった文脈で業務自動化のコンセプトが紹介された経緯があり、RPAは便利ツールとしての側面が強調されてきた」という指摘です。

総務省では、RPAの導入・発展イメージをクラス1から3まで「定型業務の自動化」「一部非定型業務の自動化」「高度な自律化」と定義していますが、日本の多くの企業は「クラス0=デスクトップ上作業の自動化」にとどまっていると同社は分析しています。