パートで働いている人にとって、ちょっと気になる「年収の壁」という言葉があります。
税金や手当に影響するため103万円以内におさえて働く「103万円の壁」など、働き方に影響を及ぼします。今回は、社会保険に加入しなければならない収入の壁についてのお話です。
2022年4月からは、パートタイマーの厚生年金加入条件が拡大されます。「壁を超えて」働くことは損なのか、将来にも目を向けて、パートの働き方について考えてみたいと思います。
「106万円の壁」ってどんな壁?
パートタイムで働いている主婦(主夫)の年収が130万円を超えると、配偶者の扶養から外れて、社会保険に加入しなければなりません。これがいわゆる社会保険の壁といわれるものです。
しかし130万円に満たなくても、一定の条件に当てはまる場合は社会保険の加入対象となります。この基準となる年収が106万円です。
次の条件をすべて満たしている場合、健康保険・厚生年金の加入対象となります。
<パートタイマーの健康保険・厚生年金適用条件>
- 従業員数が500人超の事業所であること
- 賃金の月額が8万8000円以上であること(年収約106万円以上)
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 雇用期間が1年以上見込まれること
- 学生でないこと
年金制度改正により、事業所の規模の基準が2022年10月からは従業員数100人超、2024年10月からは従業員数50人超に段階的に引き下げられます。また、雇用期間の見込みは2022年10月から「1年以上」から「2か月超え」に変更となります。
「106万円の壁」とは呼ばれるものの、年収が106万円を超えたら必ず厚生年金加入が必要となるわけではありません。前出の条件に当てはまる場合に限られます。
この条件に当てはまらないパートタイマーは1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上あれば健康保険・厚生年金に加入できます。