「老後2000万円」の”意外”な落とし穴

先ほど触れた「老後2000万円」の内訳については、意外な落とし穴があります。その中でも、「住居費」と「介護費用」について詳しく見ていきます。

住居費

この試算では、住居費が約1万4000円で計算されています。

これは「持ち家」であることを前提に計算されたものです。老後も賃貸物件に住み続ける世帯であれば、家賃との差額を、「2000万円」以外に準備していく必要があります。

介護費用

介護が必要となった場合にかかるお金も、この2000万円には含まれていません。

公的介護保険を利用する場合は、サービス利用料は1~3割負担に軽減されます。ただし、要介護状態に応じて設けられる区分によって、1カ月あたりの利用限度額が定められており、限度額を超えた分は自己負担となります。

また、有料老人ホームに入居を検討する場合は、数百万円以上の費用が必要となることが考えられます。そのうえ、月々の利用料がかかるケースがほとんどです。

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交通の便が悪いところにお住まいであれば、頻繁にタクシーを利用することもあり得ます。また、家事分担をする同居家族がいない場合は、老後の比較的早い段階で家事をアウトソーシングする必要も生じる可能性がありますね。

さらに、趣味のための費用や、友人との交際費、さらには「孫費用」といった、人生を豊かに楽しくするための必要経費も、しっかりと準備しておきたい、という方も多いでしょう。

ゆたかな老後を見据えたお金の準備は、官民問わずしっかり進めていきたいものです。

老後資金は「退職金任せ」から「自分で作る」時代に。

公務員に限らず、お勤めの方にとって退職金は老後の生活をささえる大切な柱といえるでしょう。

民間企業の場合、退職金そのものがない会社もありますし、退職金制度そのものを見直す企業も増加中です。また、公務員の退職金は民間企業の退職金相場と大きくかけ離れることがないよう、定期的に見直しが行われています。

多くの民間企業が苦戦を強いられる今、官民ともに「退職金だけ」に過剰な期待を持つことは、あまりお勧めできないでしょう。

そんな今こそ、「老後資金は自力で作る」という発想を持つチャンスかもしれません。

「人生100年時代」が近づいています。長い老後を見据えたお金の準備は、先手先手で進めていきたいものですね。

「いまの貯蓄ペースで老後は安心できそうか」
「自分に合った金融商品の選び方が分からない…」

そんな疑問や悩みは、ぜひ「マネーの専門家」にぶつけてみましょう。あなたとご家族に寄り添うお金の守り方・育て方が見つかるきっかけになるかもしれません。

参考資料

谷口 裕梨「公務員の退職金は3000万円超え?実際にどれくらいいるの?」(LIMO)
佐藤 雄基「みんなの憧れ「公務員の退職金」民間より高いのは本当か」(LIMO)
内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況(令和元年度退職者)」
総務省「平成31年地方公務員給与の実態」
金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」
金融庁「厚生労働省 提出資料 iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」
マネイロ「資産運用はじめてガイド」