国民年金、厚生年金の受給開始年齢は、原則65歳ですが、繰り上げ受給や繰り下げ受給も選択出来るようになっています。いざ年金を受け取る年齢になった時にどのように年金を受け取ればいいのか迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、厚生労働省「第12回社会保障審議会年金部会」を参考に定年を迎える60代の方が損をしない年金の受け取り方について解説します。
公的年金の受給は原則65歳から
公的年金(国民年金+厚生年金)の受給開始年齢は、原則として65歳です。ただ、本人の希望によって、70歳まで最大5年間の繰り下げ(遅らせる)、あるいは60歳まで最大5年間繰り上げ(早める)をすることができます。
そして、受給開始年齢は公的年金の額を決める要素になります。65歳より前に繰り上げると年金額は減り、繰り下げると年金額が増える仕組みになっているからです。
具体的には繰り上げをすると、1カ月につき年金が0.5%減ります。一度繰り上げて受給すると、途中で変更することはできなくなります。減額された年金を一生受け取ることになるため、繰り上げ受給を積極的にすすめる専門家はいないと言っても過言ではありません。繰り上げ受給にはメリットがほとんどないからです。
70歳から受け取ると受給額を42%増やせる
一方、受給開始年齢を遅らせると、1カ月あたり0.7%が増額されます。例えば1年間受給開始を遅らせると、増加率は8.4%になるのです。そして、70歳から受給を開始した場合、42%も受給額が増えます。
さらに、2022年4月からは繰り下げ受給の年齢が、75歳まで延長されます。年金の受給開始を、60歳から75歳の広い範囲で選択できるようになるのです。最終的に75歳で受給を開始すると、84%も増額した年金を受け取ることが出来ますから繰り下げ受給は(上とつなげる)日本人の平均寿命が伸び「人生100年時代」といわれるようになった現在、長生きリスクに備える魅力的な選択肢といえるでしょう。
長生きリスクに備えるなら受給開始を繰り下げる
公的年金は生きている間、ずっともらい続けることができます。受給開始年齢を70歳からにすることで、公的年金の総額はどうなるのでしょうか。
もし70歳から公的年金を受け取る場合、受給額は42%増えますので、65歳からの受給額が仮に15万円だった場合、月額21.3万円(15万円×1.42)に増額されます。
65歳から82歳まで、通常の月額15万円で受け取れる総額は3,240万円(15万円×12カ月×18年)、繰り下げ受給をして70歳から82歳まで受け取れる総額は3322.8万円(21.3万円×12カ月×13年)になります。つまり、このケースでは82歳より長生きする自信があれば、70歳から受け取りを開始とした方がメリットは大きくなることがおわかりいただけると思います。
繰り下げ・繰り上げ受給の割合
金融審議会の「高齢社会における資産形成・管理」によると、現在60歳の人が80歳まで生きる確率は78.1%、85歳まで生きる確率は64.9%となっていますから、。人生100年時代を迎え、繰り下げ受給した方がオトクになる人も多いでしょう。
ただ、厚生労働省年金局「繰り下げ制度の柔軟化」によると、繰り下げ制度の利用率は約1%しかありません。制度自体の認知度が高くないことに加え、受給を遅らせている間は年金なしで乗り切らなければいけないことが影響しているのではないでしょうか。
65歳で定年退職をして70歳から公的年金をもらうまでの5年間を、どのように乗り切るかは重要な課題になります。仮に年間300万円の生活費がかかるとすると、5年間で1,500万円も必要になるからです。
まとめにかえて
公的年金の受給開始年齢を遅らせると、年金を多く受け取ることができます。人生100年時代を迎えるなか、繰り下げ受給した方が有利になる人も多いでしょう。ただし、定年退職後から受給開始まで無年金になってしまいますので、ある程度のまとまった貯蓄が必要となります。
繰り下げ受給の制度を有効活用するためには、早めに資産形成をおこない、余裕を持った老後生活の資金を蓄えておくことが大切だといえます。
気づいた時にぜひ行動してみてはいかがでしょうか。
