物価上昇が続く中で、「老後の収入は少しでも多い方がいい」と考える人は少なくないでしょう。
人生100年時代と言われる今、老後の生活を支える年金は重要な収入源です。しかし、「年金だけでは生活できない」というシニア世帯は半数を超えます。
実は、年金を増やすための「繰下げ受給」という制度があり、受給開始時期を遅らせることで年金額を大幅に増やすことができます。
厚生年金の平均月額は約15万円(※国民年金を含む)ですが、繰下げ受給制度を利用すれば最大で月27万6000円まで増やすことも可能です。
しかし、メリットばかりではありません。繰下げ受給には見逃せない注意点も存在するのです。
この記事では、繰下げ受給の仕組みや増額率、て繰り下げる際に知っておくべきポイントを解説します。
1. 年金の繰下げ受給とは
年金の繰下げ受給とは、年金の受給開始年齢を遅らせることにより、老齢年金の受給額が増える制度のことです。
年金は本来65歳から受給開始となりますが、66歳以降に遅らせることにより、1ヶ月あたり0.7%ずつ受給額が増えるのです。
- 増額率(最大84%※1)=0.7%×65歳に達した月※2から繰下げ申出月の前月までの月数※3
※1 昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなりますので、増額率は最大で42%となります。
※2 年齢の計算は「年齢計算に関する法律」に基づいて行われ、65歳に達した日は、65歳の誕生日の前日になります。
(例)4月1日生まれの方が65歳に達した日は、誕生日の前日の3月31日となります。
※3 65歳以後に年金を受け取る権利が発生した場合は、年金を受け取る権利が発生した月から繰下げ申出月の前月までの月数で計算します。