8月15日に年金支給日が終わり、次の支給は10月15日まで少し間が空きます。
年金生活のことを調べ始めた現役世代の方が驚くのは、「年金は2ヶ月ごとの支給であること」と「年金から天引きされるお金は意外に多い」ということです。
そこで本記事では、シニアの生活を支える「年金」について、支給日のスケジュールと年金から天引きされる税金・社会保険料について解説します。
60歳~90歳以上の1歳刻みでの平均額も見ていきましょう。
1. 年金から天引きされるお金はこんなにある
原則として65歳以上から受け取る老齢年金ですが、ねんきん定期便などに記載された金額をそのまま受け取るわけではありません。
老後に受け取る年金からは、社会保険料や税金が天引きされることが一般的です。一つずつ見ていきましょう。
※それぞれの天引きには要件があるため、必ず天引きされるわけではありません。
1.1 介護保険料
65歳以上になると、それまで健康保険料に含める形で支払っていた「介護保険料」を単体で納付することになります。
年金年額が18万円以上などの要件を満たせば、保険料は年金から自動的に天引きされます。
1.2 国民健康保険料(税)
65歳以上75歳未満の方のうち、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方で、国民健康保険に加入している方は保険料が年金天引きになる可能性があります。
後期高齢者医療制度の該当者は除きます。
ただし、年間の受給額が18万円以上などの要件を満たす方が対象です。また、国民健康保険料(税)と介護保険料の合計額が、各支払期に支払われる特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合は天引き対象となりません。
1.3 後期高齢者医療制度の保険料
75歳以上の方もしくは65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に該当する方のうち、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方であって、年間の受給額が18万円以上の方は保険料が年金天引きされます。
ただし、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、各支払期に支払われる特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合は天引き対象となりません。
1.4 住民税
65歳以上の方のうち、老齢もしくは退職を支給事由とする年金を受給している方であって、年間の受給額が18万円以上の方は住民税も天引きされます。
もちろん、所得が一定以下の方でそもそも住民税が非課税という場合は、天引きされません。
1.5 所得税・復興特別所得税
年金に所得税が課税される場合も、年金から天引き(源泉徴収)されます。平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得については、源泉所得税を徴収する際に復興特別所得税も合わせてかかります。
課税所得は、年金支給額から基礎控除・公的年金等控除・配偶者控除や扶養控除などを差し引いた所得額です。
なお、65歳以上の方は年金収入が158万円までなら所得税がかかりません。
1.6 天引額は「年金額改定通知書・年金振込通知書」等で確認を
すでに年金を受給している人には、毎年6月に日本年金機構から「年金額改定通知書」「年金振込通知書」等が届きます。
- 年金額改定通知書:今年度(4月分以降)の年金額がいくらになったかが分かります。
- 年金振込通知書:年金から天引き(特別徴収)される税金や社会保険料の内訳と、実際に振り込まれる手取り額(振込額)が記載されています。
こうした書類にて、実際の「振込額」をしっかり確認するようにしましょう。
2. 【年金の基本】2階建て構造と年金スケジュール
日本の公的年金を構成するのは、ベースとなる「国民年金(基礎年金)」と、上乗せ部分の「厚生年金」です。そのため「年金制度は2階建て構造」などと表現されることがあります。
二つの年金制度の基本を押さえておきましょう。
2.1 国民年金(基礎年金)
- 加入対象:原則として「国内居住」の「20歳から60歳未満」の全ての人
- 年金保険料:全員一律、年度ごとに改定あり(※1)
- 老後の受給額:保険料を全期間(480カ月)納付すると、65歳以降で老齢基礎年金の満額(※2)を受給できる。未納月数があれば、その月数に応じて満額から差し引かれる
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
2.2 厚生年金
- 加入対象:会社員や公務員、特定適用事業所(※3)にてパートなどで働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入
- 年金保険料:収入に応じて(上限あり)決まる(※4)
- 老後の受給額:加入期間や納付済保険料により、個人差が出る
国民年金と厚生年金では、加入対象となる人や保険料の決定方法、そして受給額の計算方法などが違います。そのため、老後の年金額が人それぞれとなるのです。
また、支給は2ヶ月ごとであることにも注意しましょう。
2.3 【一覧表】2025年の年金支給日カレンダー
- 2025年4月15日(火) :2月・3月分
- 2025年6月13日(金) :4月・5月分
- 2025年8月15日(金) :6月・7月分
- 2025年10月15日(水) :8月・9月分
- 2025年12月15日(月) :10月・11月分
公的年金は、上記のとおり後払い方式となっています。
3. 60歳代の「厚生年金と国民年金」受給額早見表
ここからは、いまのシニア世代が実際どの程度の老齢年金を受け取れているかを見ていきましょう。
厚生年金と国民年金の「各年齢(1歳刻み)」の平均年金月額を、年齢層の一覧表形式で確認します。
なお、記事内で紹介する厚生年金の月額には、国民年金の月額部分が含まれています。
3.1 【厚生年金一覧表】60歳代の平均月額
- 60歳:厚生年金9万6492円
- 61歳:厚生年金10万317円
- 62歳:厚生年金6万3244円
- 63歳:厚生年金6万5313円
- 64歳:厚生年金8万1700円
- 65歳:厚生年金14万5876円
- 66歳:厚生年金14万8285円
- 67歳:厚生年金14万9205円
- 68歳:厚生年金14万7862円
- 69歳:厚生年金14万5960円
3.2 【国民年金一覧表】60歳代の平均月額
- 60歳:国民年金4万3638円
- 61歳:国民年金4万4663円
- 62歳:国民年金4万3477円
- 63歳:国民年金4万5035円
- 64歳:国民年金4万6053円
- 65歳:国民年金5万9599円
- 66歳:国民年金5万9510円
- 67歳:国民年金5万9475円
- 68歳:国民年金5万9194円
- 69歳:国民年金5万8972円
65歳~69歳の平均年金月額は、厚生年金14万円台、国民年金5万円台です。
64歳までは、繰上げ受給(※1)を選んだ人や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分のみを受給している人の年金額です。そのため、厚生年金・国民年金ともに平均年金月額は65歳以降よりも少なめです。
※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳~64歳までで前倒しして受け取ること。繰上げた月数に応じて年金が減額(0.4%/月)され、一度決まった減額率は生涯変わりません。
※2 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受け取ることができます。
4. 70歳代の「厚生年金と国民年金」受給額早見表
続いて、70歳代の各年齢の年金月額を見ていきます。
4.1 【厚生年金一覧表】70歳代の平均月額
- 70歳:厚生年金14万4773円
- 71歳:厚生年金14万3521円
- 72歳:厚生年金14万2248円
- 73歳:厚生年金14万4251円
- 74歳:厚生年金14万7684円
- 75歳:厚生年金14万7455円
- 76歳:厚生年金14万7152円
- 77歳:厚生年金14万7070円
- 78歳:厚生年金14万9232円
- 79歳:厚生年金14万9883円
4.2 【国民年金一覧表】70歳代の平均月額
- 70歳:国民年金5万8956円
- 71歳:国民年金5万8569円
- 72歳:国民年金5万8429円
- 73歳:国民年金5万8220円
- 74歳:国民年金5万8070円
- 75歳:国民年金5万7973円
- 76歳:国民年金5万7774円
- 77歳:国民年金5万7561円
- 78歳:国民年金5万7119円
- 79歳:国民年金5万7078円
70歳代の平均年金月額は、厚生年金で14万円台、国民年金で5万7000~8000円台でした。
5. 80歳代の「厚生年金と国民年金」受給額早見表
次に、80歳代の各年齢の年金月額を見ていきましょう。
5.1 【厚生年金一覧表】80歳代の平均月額
- 80歳:厚生年金15万1580円
- 81歳:厚生年金15万3834円
- 82歳:厚生年金15万6103円
- 83歳:厚生年金15万8631円
- 84歳:厚生年金16万59円
- 85歳:厚生年金16万1684円
- 86歳:厚生年金16万1870円
- 87歳:厚生年金16万2514円
- 88歳:厚生年金16万3198円
- 89歳:厚生年金16万2841円
5.2 【国民年金一覧表】80歳代の平均月額
- 80歳:国民年金5万6736円
- 81歳:国民年金5万6487円
- 82歳:国民年金5万6351円
- 83歳:国民年金5万8112円
- 84歳:国民年金5万7879円
- 85歳:国民年金5万7693円
- 86歳:国民年金5万7685円
- 87歳:国民年金5万7244円
- 88歳:国民年金5万7076円
- 89歳:国民年金5万6796円
80歳代の平均受給額は、厚生年金が15万円~16万円台、国民年金が5万6000円~8000円台です。
ただし、ご紹介したデータはあくまでも「各年齢の平均」です。実際の年金額は、現役時代の働き方や年金保険料の納付状況により、一人ひとり異なります。
6. まとめにかえて
年金生活に入ると、基本的には2ヶ月ごとの収入でやりくりすることになります。
ペースをつかむために、現役時代からシミュレーションをしておきましょう。
また、天引きされるお金もあらかじめ考慮しておき、老後の計画を立てることが必要です。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
太田 彩子
