NTTドコモの電子決済サービスである「ドコモ口座」。すでにご存知のように、連携している地銀から不正に預金を引き出す事件が発覚しました。報道されている経緯からすれば、さもありなんです。
巷では、地銀が悪いとかNTTドコモが悪いといった論調が幅を効かせています。もちろんそうなのです。ただ決して両社を擁護するわけではありませんが、一番悪いのは口座情報を盗んで現金化する犯罪者です。日進月歩の情報セキュリティが確保されていたとしても、犯罪者は狡猾な奴らばかり。この手の金融犯罪はなくなりません。
一方で、地銀もドコモも“現代のお金”を扱う覚悟がなっていません。銀行口座からドコモ口座への資金移動はその銀行の口座名義・口座番号・暗証番号を登録すれば可能でしたが、そんなもの、プロ犯罪者にとっては簡単に手が入るものでしょう。実際、簡単だったからこそ今回の事件が発生したわけです。二重三重のセキュリティがなかったのがまず欠陥です。
そもそも、なぜドコモが擬似銀行口座を持つ必要があるのか?
そもそも金融取引をするのに、なぜドコモ口座を使わなければならないのか。それは、銀行口座やクレジットカードを直接使うよりもメリットがあるからでしょう。
もちろん、AさんからBさんに送金したり、あるいはAさんがレストランCで支払いしたりする際に、必ずしもドコモ口座は必要ではありません。なぜなら、Bさんから銀行口座を教えてもらえれば送金できるわけですし、送金手数料がかかるのが嫌なら現金を渡せば済みます。それでもダメなら、ペイペイ等の大手決済代行システム(銀行口座・クレジットカード連携等)を利用してもいいですし、割り勘も可能です。