ドコモと地銀、こんなにもセキュリティがずさんな連携は何のため? 消費者に手痛いとばっちり

目的はバーチャル銀行創設?

もしかしたら、ドコモによる銀行業務進出の取っ掛かりだったのかもしれません。ライバルのAUは三菱UFJフィナンシャル・グループと組んで、「じぶん銀行」を展開しています。ソフトバンクに銀行はありませんが、ペイペイで資金決済を押さえる戦略があります。

しかしながら、NTTは決済ネットワークは提供しても、独自の銀行も決済サービスもありません。そこでドコモ口座を地銀に展開したのではないでしょうか。メガバンクは各行ともにインフラを押えているので、わざわざドコモ口座と連携して自行のキャッシュフローを仲介させる必要はありません。

逆に地銀は、自行独自の決済仲介サービスを展開できる体力がないためにドコモ口座と組んだのかもしれません。そういう意味では、単独で決済ビジネスに金をかけられない地銀と、その脆弱性が露見していたドコモ口座が狙われたのは必然とも言えます。

ちなみに、巨大になったペイペイには、いまのところ三菱UFJ銀行からチャージはできません(2020年9月14日現在)。銀行によっては、めったやたらに決済サービスとリンクさせないところもあるというわけです。

それでも、まだ疑問は残る

さて、ドコモ口座をスルーしても、現金を引き出すにはATMまたは銀行窓口を利用することになります。それが無理なら、ドコモ口座でモノを購入し、それを売って換金するしかありません。

報道でも明らかなように、前者の場合資金の引き出し地銀預金口座は詐欺行為で不正入手しています。一方、その資金を現金で引き出す際は、他銀行口座にドコモ口座をワンクッション以上噛ませて送金して引き出すかしかありません。ATMなら覆面でやり過ごせるかもしれませんが、対面窓口で現金を引き出すのは自殺行為です。

参考記事

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太田 創
  • 太田 創
  • 一般社団法人日本つみたて投資協会
  • 代表理事

関西学院大学卒。1985年、三菱銀行入行。1988年より約10年間、ロンドンおよびサンパウロで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年からシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。現在は一般社団法人日本つみたて投資協会・代表理事。
主要な著書には、『ETF投資入門 』(日経BP 2008年)、『お金持ち入門』(実業之日本社 2015年 共著)、『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版 2019年)などがある。