いずれにせよ、銀行の利用はほぼ防犯カメラで捉えられていますので、銀行口座経由で現金を直接引き出す場合、①資金引き出し口座入手リスク(ウェブ利用履歴)と、②当該もしくは他行口座のATM利用画像履歴補足リスク、という二重のリスクにさらされます。

言い換えると、ウェブ上であれリアル窓口であれ、犯罪者は自らの犯罪痕跡を消せない限り、検挙リスクに晒されるわけです。この痕跡を消せるかもしれないと思われたのがドコモ口座なのでしょうね。

一方、後者の場合、資金送付先のドコモ口座が本人確認不十分なまま不正に開設されていれば、モノを買って資金を引き出した後に口座を閉鎖すれば、それ以上追及はできません(取引履歴はサーバー上に残っている可能性あり)。

もっとも、何百万円を一気に引き出すと引き出し元の預金者に気づかれやすいので、小口での換金を行っているところが今回の犯罪の特徴と言えるでしょう。

問題は、換金時に使うであろうフリマ業者や最終購入者が“善意の第三者”であることです。現金とモノを自由に交換できるプラットフォームがある限り、いつでも現金化は可能なのです。今回は被害額をNTTが被害額を補償すると表明しており、被害者が救済される方向であることは何よりです。

おわりに

今回はドコモ口座をめぐって推量を重ねてみました。あくまでも一つの推量なので、大外れであれば筆者の至らぬところです。しかし、重要なのは、こういった金融犯罪は増えることがあっても減りはしないということです。

犯罪は常にイタチごっこ。一方で、ネット社会はどんどん進化します。読者も今一度、ご自身の取引金融機関のセキュリティを再確認してはいかがでしょうか。

太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)