ゆっくり読み上げられたサトコさんの遺言は、以下のような内容でした。

  • 「頼りがいのある夫、そして優しい妹たちに恵まれて幸せな人生を送れたことに感謝している」
  • 「A子には○×銀行、C子にはゆうちょ銀行の預貯金を相続させる」
  • 「自宅の建物と土地は、一番介護に貢献してくれたB子に相続させる」
  • 「B子の娘には、感謝の気持ちとして現金200万円を渡す」
  • 「自分亡きあとも、妹たち3人、仲良く手を取り合って生きていってほしい。今までありがとう」

姉A子と妹C子は、予想通り、この内容に猛抗議を始めました。

「預貯金っていっても、どちらも数十万円しか残っていないじゃない!」
「B子がサトコ姉さんに無理矢理書かせたんでしょ、薄汚い」
「B子から頼まれた入院時の付き添いや、処方箋の引き換え、私たちちゃんと手伝ってきたわよね?」
「あんたサトコ姉さんと共謀して私たちを騙したのね。もう姉妹の縁は切らせてもらうわ!!」

困惑するB子さんに、同席の弁護士が声をかけました。「胸を張って相続してください。それがお姉さんへの一番の供養になります。7年間の介護生活のなかで、あの2人が手伝っていたのは最後の半年だけ。あなたが一番介護に貢献してきたことは誰の目からも分かります」