一方、何らかのデジタルサービスを提供する中小企業、あるいは、提供するサービスがほぼオンライン化できるような中小企業は膨張するデジタル世界(例:Open Business Council)に生息することになります。
ブロックチェーン技術に支えられた分散型プラットフォームでは、グローバルにあらゆる商取引が瞬時になされます。また、人材は世界中から採用できます。金融取引や資金調達も低コストで迅速に行われるのでビジネスの効率性が一気に高まってくるでしょう。
たとえ中小企業であっても、デジタル世界の住人となり、その世界で完結するようなビジネスモデルができれば、グローバルビジネスの可能性が無限に広がりますし、社員がコロナ感染に怯えながら通勤や仕事をすることも避けられるわけです。
どちらが優れているとか劣っているということではなく、ビジネスの性格や対象マーケットによる違いだけです。
そう考えると、コロナ危機後の未来では、中小企業政策・施策は支援対象を完全に2つに区分した上で検討すべきということになるかもしれません。
特に、デジタル世界に生きる中小企業に対する政策支援については、政府による中小企業支援サービスそのものを徹底的にデジタル化するなど、過去のパターンに囚われない斬新なアイデアを生み出していかなければならないかもしれません。
大場 由幸
執筆者
SME Financial Architect x Fintech x Frontier Markets
新潟大学法学部卒業、フィンランドAalto大学 Executive MBA取得、英国オックスフォード大学 Fintech課程修了、米国マサチューセッツ工科大学 AI課程修了。中小企業金融公庫(神戸、宇都宮、東京)、在ベトナム日本国大使館(ハノイ)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京)、東京中小企業投資育成(東京)を経て、2008年4月、クロスボーダー・ジャパン(株)代表取締役社長(東京&シンガポール)に就任。日系中堅・ベンチャー企業のアジア戦略・財務を支援する傍ら、新興アジア諸国にて多数のSME金融関連プロジェクトに従事し、マレーシア信用保証公社 JICAアドバイザー(クアラルンプール)、ベトナム信用情報センター 世界銀行コンサルタント(ハノイ)、インドネシア経済調整庁 MSME金融包摂アドバイザー(ジャカルタ)、ミャンマー経済銀行 SMEファンド助言チームリーダー(ネピドー&ヤンゴン)等を歴任。現在、エンジェル投資家/アドバイザーとして複数のフィンテック企業(ロンドン、ニューヨーク等)の経営に関与。ポルトガル政府公認ビジネスエンジェル(アヴェイロ拠点のエンジェル投資家団体REDangelsに所属)。APEC関係機関であるPBEC(太平洋経済委員会)メンバー。マレーシア在住、エストニア居住。