一方、本質的にデジタル化しやすい金融業界においては、今回のコロナ危機がデジタル化の触媒になるのではないかという議論が盛んに行われています。
コロナ危機後は、デジタル世界に金融エコシステムが構築され、ウェブ上のマーケットプレイス型プラットフォーム、人工知能・機械学習活用型金融サービス、オープンバンキング、新たな形態の金融機関(例:デジタルオンリーバンク)や貸出事業者(alternative lender)なども形成されていくでしょう。
そうしたデジタル世界とは別に、政府による中小企業向け政策金融や信用保証だけが、デジタル化の波に取り残されていくのでしょうか。
各国のデジタル環境の発展度合いによって差が出てくるでしょうが、デジタルマインドセットを持つ若手経営者など新しい世代の中小企業は、遠方の支店にわざわざ訪問することを余儀なくされるような金融支援を敬遠するに違いありません。
これはコロナ危機前にはまだまだ先の話だと勘繰っていましたが、コロナ危機後に、そうした未来が思っていたより早くやってくるのではないかと感じています。
中小企業の分断と支援政策
中小企業と一口に言っても実に様々な業種があります。それが中小企業の特徴でもあるわけですが、コロナ危機後の未来像を考えると、グローバル経済とは一線を画し縮小均衡なリアルのローカルマーケットに生息する中小企業と、膨張するデジタル世界で真にグローバル化する中小企業とに、大きく分断されることになるのではないでしょうか。
たとえば、街のパン屋さんはご近所の人々をお客に、日々美味しいパンを作り、それを食べてもらうことで笑顔になってもらう。あくまでローカルに徹します。