ワークマンの原価率は実のところ、2016年3月期の67.3%から年々低下しており、消費者から見た「割の良さ」は薄れてきているものの、依然ファストリを超える原価率を維持している以上、「値段がお手頃」という評価はそう簡単に崩れないだろう。
加えて、原価率の低下は前述したように営業利益率の上昇につながっており、投資家としても喜ばしい状況となっている。
このようにオシャレ・高機能・低価格が、ワークマンにとって未開拓市場だった若年層に刺さることで、近年売上高が急速に成長している。既存店売上高の好調に寄与しているのは前年比10~30%の増加を見せる客数だ。
「来店客の男女比」や「来店客の年齢層」といったデータは開示されていないが、昨今のブームから察するにワークマン店舗には若年層や女性の新規来店客が増えているのだろう。
自己資本比率"80%"&現預金比率"44%"の超安全運転経営ー投資家にとっては不満も?
話は変わるが、ワークマンは資金調達面での負債の活用が少ない。2020年3月期第2四半期末(2019年9月30日)時点での自己資本比率は79.7%と、ファストリの40.9%、アダストリアの57.4%、AOKIの62.5%、ミズノの64.7%などと比べると高水準だ。ちなみにしまむらも84.9%と、ワークマン同様自己資本の比率は高い。
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社し、現在はメディア事業部・メディアグロース企画推進室マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
新潟県立新津高等学校を経て、2013年に慶応義塾大学商学部を卒業。学部では、岡本大輔研究会にて企業評価論、計量経営学を専攻していた。
最終更新日:2023/11/03