現預金についても、「寝かせておくのであれば優良な投資先に回し、収益をより多く稼げ。投資先がないのであれば自社株買いを通じて株主に資金を還元しろ」という不満の声が上がるのがむしろ自然な流れだ。
会社側のリリースを見ると、負債の活用や大規模な自社株買いによる資本効率の改善策計画は確認できない。この状況では、キャッシュリッチと資本構成の改善余地に目をつけた投資ファンドが、株主提案や取締役の派遣を通じてメスを入れてくるといったシナリオも否定はできない。
現在のPERはさすがに手が出しづらい水準か
「ワークマン女子」などのワードができ、月次売上高も驚異的なペースで伸びているだけに、株式市場での評価も高まっている。2月上旬での今期予想PERは50倍台と、しまむらや良品計画、ABCマート、AOKI、アダストリアを圧倒する。ファストリの36倍と比べても絶対値としては高く見える水準だ。
これほどの高いPERには、過度に楽観的な業績拡大シナリオが背景にあると考える。今の時価総額である約7000億円と、2020年3月期の会社予想である純利益134億円をベースに、仮に今後5年間、当期純利益が対前年度比+25%で成長すると、PERは18倍に落ち着く。決して可能性としてない話ではない。
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社し、現在はメディア事業部・メディアグロース企画推進室マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
新潟県立新津高等学校を経て、2013年に慶応義塾大学商学部を卒業。学部では、岡本大輔研究会にて企業評価論、計量経営学を専攻していた。
最終更新日:2023/11/03