ワークマンが上場する市場は東証JASDAQであり、TOPIXの構成銘柄には加えられていないので、指数をベンチマークとして運用する機関投資家には大きくは買われない。また、保険会社や投資信託、年金基金などについても投資先を選定するうえで業績規模や上場市場などに関する制約を多数持っており、視野には入りづらい。
ワークマン株式の1日当たりの売買代金や時価総額対比をみても流動性は低く、この辺りの流動性リスクも機関投資家から敬遠されるポイントだ。こういった点から、ワークマンの株価は機関投資家によるシビアな目にさらされることなく、上昇を続けてきたとも考えられる。
今からワークマン株の購入を考えるならば、この「アパレル業界独特の事業リスク」と「機関投資家不在の中で形成された50倍近いPER」という点について特に熟考する必要があると考える。
石津 大希
執筆者
2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)に入社。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信している。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。