「人生100年時代」と言われる現代、老後の生活設計は多くの人にとって重要な課題です。
長くなるセカンドライフを支える「収入の柱」の一つが公的年金(厚生年金・国民年金)となっています。
厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」によれば、平均寿命は女性が87.13歳、男性が81.09歳です。
たとえば、現役で働いていた期間と同じくらいの時間を退職後に過ごす場合、老後資金を十分に準備しておく必要があるでしょう。
老後の生活を支える重要な収入源である公的年金ですが、現在のシニア世代はどれくらい受け取っているのでしょうか。
今回は、2025年12月15日の年金支給日に、2ヶ月分で30万円(月額15万円)の年金を受け取れる人がどのくらいいるのか、最新のデータをもとに解説します。ぜひ参考にしてください。
1. 日本の公的年金制度、「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造とは?
日本の公적年金制度は、原則として20歳以上60歳未満の方が加入する「国民年金(基礎年金)」を1階部分とし、会社員などが上乗せで加入する「厚生年金」を2階部分とする「2階建て構造」が採用されています。
ここでは、それぞれの制度の基本的な仕組みについて見ていきましょう。
1階部分:国民年金(基礎年金)の仕組み
- 加入対象者:原則として日本国内に居住する20歳から60歳未満のすべての方
- 保険料:加入者全員が定額ですが、毎年度改定されます(※1)
- 受給額:保険料を全期間(480ヶ月)納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金が受給可能です(※2)。未納期間がある場合は、その期間に応じて満額から減額されます
※1 2025年度の国民年金保険料は月額1万7510円です。
※2 2025年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額6万9308円です。
2階部分:厚生年金の仕組み
- 加入対象者:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※3)に勤務し、一定の要件を満たす方が国民年金に上乗せして加入します
- 保険料:収入(標準報酬月額)に応じて決定されますが、上限が設けられています(※4)
- 受給額:加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます
2階部分に位置する厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に加えて加入する制度です。
国民年金と厚生年金では、加入対象者の範囲、保険料の計算方法、そして将来受け取る年金額の算出方法が異なります。
このため、老後に受給する年金額は、現役時代にどの年金制度に加入していたかや、収入の状況によって大きく変わってきます。
また、公的年金の額は、物価や現役世代の賃金の変動に合わせて毎年改定される仕組みであることも知っておくと良いでしょう。
※3 特定適用事業所とは、1年のうち6ヶ月以上、厚生年金保険の被保険者総数(短時間労働者や共済組合員は除く)が51人以上となる見込みの企業などを指します。
※4 厚生年金の保険料は、標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて算出されます。

