以降はそのコンセプト通り「働く男のための店」として、工場や建設現場向けの作業服や安全靴、手袋などを製造、販売してきた。その後、防寒服やレインウエア、アウトドアやスポーツ用のカジュアル衣料なども手掛けるようになり、事業を拡大。そして昨今、「デザインが可愛い」「機能性が高い」「値段がお手頃」ということで若年層から注目を浴びるようになる。
ワークマン側もテレビや雑誌といったマスコミへの露出増加や、ファッションショーの開催、著名なYoutuberやインスタグラマーなどとのコラボ企画を通じて若年層に向けて積極的にプロモーションしており、巷では「ワークマン女子」といったワードができあがるほどのブームとなっている。
加えてワークマンは長年にわたって仕事用の衣料を製造してきたため、高機能という領域においても強みを持っており、「暑くない、寒くない、蒸れない、雨を通さない」といった点も高い評価を受けている。
そして驚きなのは、「値段がお手頃」との評価を得て然るべき原価率の高さだ。ワークマンの2019年3月期の原価率は62.4%。安さをウリにする「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの51.1%を大きく上回っており、しまむらの68.2%には及ばずといった水準だ。
筆者は財務諸表を通じてこの事実を発見したが、ワークマン女子などはオシャレ・コスパに関する優れた嗅覚のもと、商品と値札を見比べながらその「お得感」を見出しているのだろう。
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社し、現在はメディア事業部・メディアグロース企画推進室マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
新潟県立新津高等学校を経て、2013年に慶応義塾大学商学部を卒業。学部では、岡本大輔研究会にて企業評価論、計量経営学を専攻していた。
最終更新日:2023/11/03