6. 【FPの視点】長く働くとき、退職金の受け取り時期で見ておきたいこと

働く期間が延びると、退職金を受け取ってからも給与収入がある期間が生まれます。退職金を老後資金として生かすために、家計の目線で押さえておきたい点を整理します。

6.1 定年後に再雇用か、定年の引き上げかで受け取り時期が変わる

厚生労働省の集計では、65歳までの雇用確保措置のうち65.1%が継続雇用制度、31.0%が定年の引き上げでした。60歳定年で再雇用される場合と、65歳定年まで働く場合とでは、退職金を受け取る年齢が異なるのが一般的です。

また、再雇用後の給与は定年前と比べて下がることがあります。退職金を受け取ったあとの数年間をどう過ごすかで、老後資金の残り方は変わってきます。具体的な支給時期や再雇用後の条件は、勤務先の就業規則や退職金規程で確かめておきましょう。

6.2 受け取った退職金は「生活費」と「老後資金」に分けて管理する

60歳以降も働く理由の最多は「生活費・老後資金の確保」でした。働きながら退職金を受け取ると、まとまったお金が手元にある安心感から、日々の支出に回してしまうこともあります。

退職金は、当面使う予定のあるお金と、年金生活に入ってから取り崩すお金に分けて管理しておくと、計画が立てやすくなります。

6.3 iDeCoの受け取り時期は、退職金とあわせて決める

2026年1月からの改正で、iDeCoの一時金を受け取ってから会社の退職金を受け取るまでの間隔によっては、退職所得控除の調整を受けることになりました。iDeCoは受け取り開始の時期を選べるため、退職金の支給時期とあわせて検討することが大切です。

一時金で受け取るか、年金形式で受け取るかによっても税金や社会保険料の負担は変わります。判断に迷うときは、税務署や金融機関、ファイナンシャル・プランナーに相談してみてください。

7. まとめにかえて

40〜59歳で働く人の79.4%が60歳以降も働くと考え、企業も平均67.9歳までの活躍を期待しています。一方で、定年を65歳とする企業は27.2%で、60歳定年の企業が62.2%を占めています。

地方公務員の退職手当は、受け取った人の平均で1220万4000円、勤続25年以上の定年退職では2139万4000円でした。一時金で受け取る場合は退職所得控除が大きく、勤続38年なら控除額は2060万円になります。

働く期間が延びるほど、退職金をいつ、どう受け取るかの選択肢も増えます。まずは勤務先の定年制度と退職金規程を確かめ、iDeCoなどほかの受け取りとの順番もあわせて考えておくと安心です。

参考資料

村岸 理美