4. 地方公務員の退職手当は平均「約1220万円」勤続25年以上《定年退職》だといくら?
退職金の水準を、公的な統計で確認できる地方公務員の例で見てみます。総務省の「令和7年地方公務員給与実態調査」には、令和6年度中に退職した職員の退職手当がまとめられています。
4.1 退職手当を受け取った人の平均は1220万4000円
令和6年度に退職手当を支給された地方公務員(全職種)の1人当たり平均支給額は、1220万4000円でした。職員区分別では、一般職員が1153万1000円、教育公務員が1273万8000円、警察官が1591万5000円です。
この平均には、勤続年数の短い自己都合退職なども含まれています。令和6年度の退職者19万3240人のうち、自己都合の退職等は6万8229人(35.3%)、勤続25年以上の定年退職等は6万9881人(36.2%)でした。
4.2 勤続25年以上で定年退職した一般職員は2139万4000円
一般職員のうち、勤続25年以上で定年退職した人(60歳〜61歳)に限ると、1人当たりの平均手当額は2139万4000円でした。定年引上げ前の定年年齢に達した日以後に退職した職員の手当額も含みます。
団体区分別では、都道府県が2190万5000円と最も高く、市が2144万5000円、指定都市が2092万2000円、町村が2042万2000円となっています。
ここで見たのは地方公務員の平均です。民間企業の退職金は、会社の制度や勤続年数、退職理由によって大きく異なるため、自分の見込み額は勤務先の退職金規程で確かめる必要があります。
5. 【退職金】一時金で受け取るときの「退職所得控除」と、2026年1月からの改正
退職金を一時金で受け取ると「退職所得」として、ほかの所得と分けて課税されます。手取りを左右するのが「退職所得控除」です。
5.1 勤続20年を超えると、控除額は1年ごとに70万円ずつ増える
国税庁によると、退職所得控除額は勤続年数に応じて次のように計算します。
- 勤続20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数−20年)
退職金からこの控除額を差し引き、さらに2分の1にした金額が退職所得の金額となり、これに税金がかかります。役員等として勤続5年以下の人や、勤続5年以下の短期退職手当等には、2分の1にする計算に制限があります。
5.2 勤続38年で2139万4000円を受け取ると、退職所得は39万7000円
たとえば、先に見た地方公務員の平均額2139万4000円を、勤続38年で受け取ったと仮定して計算してみます。
勤続38年の退職所得控除額は、800万円+70万円×18年で2060万円です。2139万4000円から2060万円を引くと79万4000円で、その2分の1の39万7000円が退職所得の金額になります。退職金の大部分が控除の範囲に収まる計算です。
ただし、これは平均額を一律に当てはめた試算です。実際の税額は勤続年数や受け取る金額によって変わります。
5.3 iDeCoを先に受け取る場合、2026年1月から「前年以前9年内」が調整の対象に
会社の退職金とiDeCo(個人型確定拠出年金)の一時金をどちらも受け取る場合は、受け取る順番と間隔にも注意が必要です。
令和7年度の税制改正により、会社の退職金を受け取る年の前年以前9年内に、iDeCoなどの老齢一時金(2026年1月1日以後に受け取ったものに限る)を受け取っていた場合、退職所得控除額の計算で勤続期間などの重なりを調整する特例の対象になりました。改正前は「前年以前4年内」でした。
たとえば、60歳でiDeCoの一時金を受け取り、65歳で会社の退職金を受け取る場合、これまでは間隔が5年あれば調整の対象外でしたが、改正後は調整の対象に含まれます。この改正は、令和8年分以後の所得税に適用されます。
受け取り方によって手取りは変わるため、具体的な税額は税務署や勤務先、金融機関などで確かめるようにしましょう。