傷病手当金を受け取りながら療養している最中に、退職を考えることになったという方もいるのではないでしょうか。

傷病手当金は、健康保険の被保険者であることが前提の給付です。しかし一定の条件を満たせば、退職して被保険者資格を失ったあとも、引き続き受け取れる「継続給付」という仕組みがあります。

この記事では、資格喪失後も傷病手当金を受け取るための条件と、退職日の過ごし方の注意点、老齢年金を受け取るようになったときの扱いまで確認していきます。

1. 傷病手当金は、退職しても受け取れるか

まず、結論から確認します。

傷病手当金を受給中、または受給できる状態で退職した場合、一定の条件を満たせば、資格喪失後も引き続き傷病手当金を受け取ることができます。これを「資格喪失後の継続給付」といいます。

ただし、誰でも無条件に継続給付を受けられるわけではありません。満たすべき条件と、見落としがちな注意点を順に確認していきます。

2. 継続給付を受けるための2つの条件

全国健康保険協会(協会けんぽ)は、資格喪失後も傷病手当金を受け取れる条件を次のように説明しています。

2.1 資格喪失日の前日までに継続して1年以上の被保険者期間があること

被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間があること

出所:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」

ここでいう1年は、健康保険の被保険者期間を通算して1年以上という意味です。転職などで保険者が変わった場合でも、途切れ(1日の空白)なく健康保険に加入し続けていれば通算されます(※国民健康保険の期間などは通算対象外です)。

2.2 資格喪失時に、受給しているか受給条件を満たしていること

資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること

出所:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」

退職日の時点で、実際に傷病手当金を受給していなくても構いません。労務不能の状態が続いていて、受給できる条件を満たしてさえいれば対象になります。

退職後も傷病手当金を受け取れる「2つの条件」1/2

退職後も傷病手当金を受け取れる「2つの条件」

出所:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」をもとにLIMO編集部作成

3. 退職日の過ごし方には注意が必要

継続給付の条件を満たしていても、退職日の過ごし方次第で対象から外れてしまうことがあります。

3.1 退職日に出勤すると、継続給付の対象から外れる

協会けんぽは、退職日に出勤した場合の扱いについて次のように注意を促しています。

退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金はお支払いできません。

出所:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」

退職日に出勤してしまうと、その日は「労務不能」とはみなされず、条件2の「受ける条件を満たしていること」に当てはまらなくなります。有給消化中であっても、実際に出勤・就労すれば同様です。退職日が近づいたら、最終出勤日をいつにするか、会社とよく相談しておく必要があります。

和田 直子

療養中に退職を決める方は、退職日の過ごし方まで気が回らないことも多いです。最終出勤日を決める前に、会社の担当者や加入している健康保険組合に一度確認しておくと安心です。