2. 地方公務員の平均給与月額は42万8589円。主な職種では警察職が49万4513円で最も高い
地方公務員の給与は、基本給にあたる「給料」と、勤務の内容や生活を支える「諸手当」を合わせた額で支給されます。調査では、この合計を「給与月額」としています。
2.1 全職種の平均は、給料33万9616円と諸手当8万8973円
全職種の平均給与月額は42万8589円でした。内訳は、平均給料月額が33万9616円、平均諸手当月額が8万8973円です。
なお、この給与月額には期末手当や勤勉手当、いわゆるボーナスは含まれていません。令和7年4月分として支給された月々の金額です。
2.2 一般行政職は41万3968円、警察職は49万4513円
職種別にみると、一般行政職(平均年齢42.0歳)の平均給与月額は41万3968円で、給料が32万6911円、諸手当が8万7057円でした。
主な職種で最も高いのは警察職(同39.4歳)の49万4513円です。給料は34万5913円と一般行政職より約2万円高い程度ですが、諸手当が14万8600円と大きく、給与月額の30.0%を手当が占めています。
消防職(同38.9歳)は42万6274円で、諸手当は10万5825円でした。高等学校教育職(同44.5歳)は給料が37万8305円と高く、給与月額は44万2668円です。技能労務職(同52.0歳)は37万5384円でした。
2.3 手当でいちばん大きいのは、地域手当などの生活給的手当
全職種平均の諸手当8万8973円を種類別に分けると、扶養手当・地域手当・住居手当・通勤手当などの「生活給的手当」が4万5675円で最も多く、給与月額の10.7%を占めます。
次いで、時間外勤務手当などの「超過労働的手当」が2万7847円(6.5%)、特殊勤務手当や管理職手当などの「職務給的手当」が1万3519円(3.2%)でした。
給料が同じくらいでも、どの手当がどれだけ付くかによって受け取る額は変わります。次章では、勤め先の自治体による違いを見ていきます。
3. 同じ一般行政職でも、指定都市44万5629円と町村37万910円で月7万4719円の差
一般行政職の平均給与月額を団体区分別に比べると、自治体の種類によって差があることがわかります。その差を生んでいるのは、主に諸手当です。
3.1 指定都市が最も高く、町村が最も低い
最も高いのは指定都市の44万5629円で、給料33万1593円に諸手当11万4036円が加わります。次いで特別区が43万4733円、都道府県が42万139円、市が40万8453円でした。
最も低い町村は37万910円で、指定都市との差は月7万4719円です。給料の差は1万5147円にとどまる一方、諸手当は指定都市の11万4036円に対して町村は5万4464円と、約6万円の開きがあります。
3.2 特別区は給料が最も低いのに、手当で43万円台になる
特別区の平均給料月額は30万6499円で、団体区分の中で最も低い水準です。平均年齢が39.5歳と若いことも関係しているとみられます。
ところが諸手当は12万8234円と最も多く、給与月額の29.5%を占めます。その結果、平均給与月額は43万4733円となり、都道府県や市を上回っています。
3.3 国を100とした給与水準は98.9
地方公務員の給与水準を国家公務員と比べる指標に「ラスパイレス指数」があります。国を100としたときの、一般行政職の給与水準を示すものです。
令和7年4月1日現在の指数は、全地方公共団体の平均で98.9でした。団体区分別では、指定都市99.8、都道府県99.7、市98.7、特別区97.9、町村96.7です。
総務省は、国家公務員給与の引上げ改定が続くなかで指数が99前後で推移していることから、地方公務員の給与でも国と同様に引上げ改定が行われていることがうかがえる、としています。
4. 大学卒の一般行政職、給料月額は1年未満の22万4074円から35年以上で42万6118円に
給料は、経験年数を重ねるにつれて上がっていきます。一般行政職のうち大学卒の職員について、経験年数ごとの平均給料月額を確認します。ここでの金額は手当を含まない給料のみです。
4.1 10年以上15年未満で29万5279円
経験年数1年未満の平均給料月額は22万4074円でした。5年以上7年未満では25万3874円、10年以上15年未満では29万5279円になります。
20年以上25年未満では37万1706円、30年以上35年未満では41万3922円と、経験年数が長くなるほど上がっていきます。
4.2 35年以上は42万6118円。団体区分では指定都市が最も高い
35年以上の平均給料月額は42万6118円で、1年未満の約1.9倍です。
同じ大学卒・35年以上を団体区分別にみると、指定都市が44万2728円と最も高く、都道府県42万7219円、市42万5576円、特別区40万9158円、町村40万3138円の順でした。
ここまでは、総務省の調査から給与の金額を確かめてきました。では、働いている公務員自身は、給与についてどう感じているのでしょうか。
5. 給与に満足している公務員はどれくらい?パーソル総合研究所の調査から
パーソル総合研究所は2026年9月11日、「公務員の職業生活に関する定量調査‐中央官庁・地方自治体職員編」の結果を公表しました。2026年1月に、中央官庁と地方自治体で働く現職の公務員2366人を対象に行ったインターネット調査です。
この調査は国家公務員(中央官庁)と地方公務員(広域自治体・基礎自治体)の両方が対象で、総務省の調査とは対象者が異なります。数字を直接比べることはできない点に注意が必要です。
5.1 やりがいの1位は「長期的に安心して働ける」。給与への満足は上位に入りにくい
公務員のやりがいを複数回答で聞いたところ、中央官庁・広域自治体・基礎自治体のいずれも、1位は「長期的に安心して働けると感じる」、2位は「自分の仕事が社会に役立っていると感じる」でした。
一方、「現在の給与や報酬に満足している」は、中央官庁で28.5%(10位)、広域自治体で35.0%(7位)でした。基礎自治体では上位10項目に入っていません。
公務員のやりがい(複数回答)のうち、「現在の給与や報酬に満足している」の割合と順位です。6/7
出所:パーソル総合研究所「公務員の職業生活に関する定量調査‐中央官庁・地方自治体職員編」をもとにLIMO編集部作成
5.2 勧めない理由で「給与が低い」が1位なのは、広域自治体の技術職61.4%
公務員という職業を家族・知人・友人に勧めないと答えた人に、その理由を聞いています。多くの所属・職種で上位に挙がったのは「ストレスが多い」でした。
そのなかで、広域自治体の技術職では「給与が低い」が61.4%で1位です。中央官庁の行政職(事務系)でも44.4%で、「ストレスが多い」と並んで1位でした。
広域自治体と基礎自治体の行政職ではいずれも37.1%(5位)、基礎自治体の技術職では35.3%(4位)です。パーソル総合研究所は、専門性に見合う処遇のあり方が課題となっている可能性を指摘しています。
公務員を勧めないと答えた人のうち、理由に「給与が低い」を選んだ割合です。※の付いた区分は回答者が少ないため参考値です。7/7
出所:パーソル総合研究所「公務員の職業生活に関する定量調査‐中央官庁・地方自治体職員編」をもとにLIMO編集部作成
5.3 若手では、報酬・待遇への満足が転職意向を抑える
「条件さえ合えば、別の業界に転職したい」と答えた割合は、技術職で29.1〜36.1%と総じて高く、最も高いのは広域自治体の技術職の36.1%でした。行政職は21.4〜28.9%です。
20代・30代の職員に限って転職意向に影響する要因を分析すると、「自己成長」が最も強く転職意向を抑え、「報酬・待遇満足度」と「キャリア見通し」も抑える方向に働いていました。
また、20〜30代では、公務員を続けたい気持ちと転職したい気持ちがどちらも高い「潜在流出群」が17.1%、続けたい気持ちが低く転職したい気持ちが高い「離職切迫群」が15.9%でした。合わせて33.0%と、約3人に1人にのぼります。
給与の水準そのものに加え、成長を実感できるか、努力が評価されているかといった点も、公務員が働き続けるかどうかに関わっていることがうかがえます。
6. まとめにかえて
令和7年4月1日現在、地方公務員の全職種の平均給与月額は42万8589円でした。一般行政職では、指定都市の44万5629円から町村の37万910円まで、月7万4719円の差があります。
差の多くは地域手当などの諸手当から生まれています。特別区のように給料が低くても、手当によって給与月額が高くなる例もあります。
一方で、パーソル総合研究所の調査では、給与・報酬への満足はやりがいの上位に入りにくく、広域自治体の技術職では勧めない理由の1位が「給与が低い」でした。
公務員の給与は「平均いくらか」だけでなく、職種・自治体・経験年数のどれで比べるかによって見え方が変わります。気になる自治体や職種があれば、まずはその区分の数字から確かめてみてください。
7. 【FPの視点】平均給与月額を自分の家計に当てはめるときに見ておきたいこと
調査の平均給与月額は、全職員の平均です。自分や家族の家計を考えるときには、数字の中身を分けて見ておくと見通しを立てやすくなります。
7.1 給料と手当は分けて考える
給与月額のうち、手当は勤務地や職務、残業の多さによって変わります。たとえば全職種平均では、時間外勤務手当などの超過労働的手当が2万7847円含まれています。
異動や働き方の変化で手当が減ると、給料が同じでも給与月額は下がります。毎月の固定的な支出は、給料を中心とした金額で考えておくと安心です。
7.2 額面が増えても、手取りは同じ幅では増えない
共済組合の掛金や税金は、給料だけでなく多くの手当も含めた収入をもとに計算されます。額面が増えれば、差し引かれる金額も増える方向に動きます。
また、住民税は前年の所得をもとに計算されるため、給与が上がった翌年度に負担が増えることがあります。掛金や税額の具体的な扱いは、勤務先の給与担当や加入している共済組合に確かめるのが確実です。
7.3 ボーナスは月額とは別に見積もる
今回の平均給与月額には、期末手当・勤勉手当(ボーナス)が含まれていません。年収で考えるときは、ボーナスを別に足し合わせる必要があります。
ボーナスの支給月数は年によって改定されることがあります。住宅ローンのボーナス払いなどを組むときは、支給額が変わる可能性も踏まえておきたいところです。
7.4 経験年数による伸び方から、長期の計画を立てる
大学卒の一般行政職では、給料月額が経験年数1年未満の22万4074円から、35年以上で42万6118円まで上がっていました。こうした伸び方は、教育費や住宅購入など、長期の資金計画を考える手がかりになります。
ただし、これはあくまで現在の職員の平均です。将来の給与は給与改定や昇任の状況によって変わるため、余裕を持った計画にしておくことが大切です。
参考資料
村岸 理美