3. FPからのアドバイス|働き方を変える前に確認したい3点

制度の数字がいくつも出てくると、どこから考えればよいか迷ってしまうかもしれません。まずは、次の順番で整理してみましょう。

3.1 最初に、勤務先で加入対象になるかを確認する

確認したいのは、勤務先の適用状況と、ご自身の労働時間・雇用期間などです。人数だけで判断せず、担当部署に聞いてみてください。

契約上の所定労働時間が週20時間未満でも、実際に週20時間以上働く状態が続くと、加入対象になる場合があります。

残業の扱いを会社が自由に決められるわけではないため、勤務実態も含めて確認しましょう。

3.2 保険料は、加入前に払っていた額と比べる

配偶者の扶養から加入する場合は、新たな本人負担が生じます。一方、国民年金と国民健康保険を払っていた方は、切り替えによって合計の負担が軽くなることもあります。

給与から引かれる金額だけでなく、それまで払っていた保険料や、免除・減免の有無も含めて比べることが大切です。

3.3 勤務時間を減らすなら、減る給与も一緒に計算する

勤務時間を減らすと、保険料だけでなく給与も変わります。減少額は時給や減らす時間によって違うため、一律の金額では判断できません。

額面収入、保険料、税に加えて、配偶者の勤務先の家族手当への影響も確認してみましょう。

厚生年金に加入すると、将来の年金が上乗せされます。健康保険でも、要件を満たせば傷病手当金や出産手当金を受けられるため、今の手取りと保障の両方を見て考えたいところです。

なお、加入要件を満たしていれば、本人の希望で加入を断ることはできません。

4. まとめ

2026年10月に撤廃されるのは、短時間労働者の社会保険加入に関する賃金要件です。労働時間や企業規模などの条件は残ります。

今回の試算では、本人負担は年収120万円で月約1万3900円、130万円で約1万5600円、150万円で約1万7900円となりました。

税などは別に考える必要があり、この保険料だけで実際の手取りが決まるわけではありません。

所得税、住民税、配偶者の扶養は、それぞれ異なる基準で判定されます。まず勤務先で加入条件を確かめ、そのうえでご自身の家計への影響を計算してみてください。

加藤 聖人
「壁がなくなる」という言葉だけでは、自分の負担が増えるのかどうかまでは分かりません。すでに加入している方もいれば、勤務先の条件などによって引き続き対象にならない方もいます。雇用契約書と給与明細を手元に置き、まずは加入条件を確かめてみてください。そのうえで、働く時間を変えた場合の収入と負担を比べると、判断しやすくなるはずです。

参考資料

加藤 聖人