2026年10月に、パートやアルバイトなど短時間で働く人の社会保険の加入要件のうち、所定内賃金が月額8.8万円以上という「賃金要件」が撤廃される予定です。厚生労働省は、最低賃金の上昇により、週20時間以上働けば自動的にこの要件を満たすようになったことを理由に挙げています。

一方、9月15日に閣議決定された就業者負担軽減支援金の大綱では、就業促進特例加算の対象の範囲が「被用者保険の短時間労働者の適用ライン」から始まると書かれています。

この記事では、社会保険の加入要件の変更と、就業促進特例加算の適用ラインの書かれ方を並べて確認します。

なお、給付付き税額控除の基本的な仕組みについては、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年8月最新】給付付き税額控除とは?いつから・いくらもらえる?「給付一本化」への転換と今後のスケジュール
【2026年8月最新】給付付き税額控除とは?いつから・いくらもらえる?「給付一本化」への転換と今後のスケジュール

1. 【給付付き税額控除】就業促進特例加算は被用者保険の短時間労働者の適用ラインから対象になる

就業促進特例加算は、就業者負担軽減支援金に上乗せされる加算です。大綱が対象の範囲をどう書いているかを見ていきましょう。

1.1 就業促進特例加算は「年収の壁」に直面する人などへの加算

大綱は、いわゆる「年収の壁」に直面する人や、同程度の社会保険料負担のある人に対して、上記1及び2による支援額に加えて就業促進特例加算を支給するとしています。

ここでいう「年収の壁」は、被用者保険が適用されること、または国民健康保険の被保険者・国民年金第1号被保険者となることによって生じる社会保険料負担の増加を指すと定義されています。

また、この新たな現金給付制度(所得連動型給付)の検討では、パートなどで働く低中所得層の負担軽減も視野に入れています。

出所:【2026年8月最新】給付付き税額控除とは?いつから・いくらもらえる?「給付一本化」への転換と今後のスケジュール

1.2 対象の範囲の下限は「被用者保険の短時間労働者の適用ライン」

就業促進特例加算の対象は、勤労所得が被用者保険の短時間労働者の適用ラインから「年収の壁」による可処分所得の減少が回復する水準までであって、被用者保険の適用に伴い生じる社会保険料相当額を支払った人とされています。

適用ラインについて大綱の注記は、令和7年度における全国で最も低い地域別最低賃金(時給1023円)に、短時間労働者の適用労働時間である週20時間を乗じると、給与収入106万円(所得32万円)になると示しています。この場合の社会保険料負担は約16万円程度とされています。

2. 2026年10月に撤廃予定の社会保険の賃金要件と、残る3つの要件

厚生労働省の資料では、短時間労働者が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するには、現在4つの要件を満たす必要があるとされています。

2.1 現在の社会保険の加入要件は賃金・労働時間・企業規模・学生でないことの4つ

4つの要件は次のとおりです。

  • 所定内賃金が月額8.8万円以上であること(賃金要件)
  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 勤め先が従業員数51人以上の企業であること(企業規模要件)
  • 学生ではないこと

企業規模要件の従業員数は、厚生年金保険の被保険者数で数えます。

2.2 賃金要件は「いわゆる年収106万円の壁」として2026年10月に撤廃予定

厚生労働省は、令和7年度の地域別最低賃金が全ての都道府県で時給1016円を超え、週20時間以上働くすべての人が自動的に社会保険の加入対象になるため、令和7年の年金制度改正法にもとづいて2026年10月に賃金要件を撤廃する予定としています。

資料では、賃金要件を「いわゆる年収106万円の壁」と説明しています。撤廃後も、週の所定労働時間・企業規模・学生でないことの3つの要件は残ります。

短時間労働者が社会保険に加入する4つの要件と、今後の予定1/2

賃金要件は2026年10月に撤廃予定、企業規模要件は2027年10月から36人以上、労働時間と学生でないことは変更の予定なしと示した表

出所:厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」を参考にLIMO編集部作成

大綱の就業促進特例加算も、適用ラインを最低賃金に週20時間を乗じて換算しており、労働時間を起点にした書き方になっています。