3. 老後の税金と保険料で押さえておきたい4つのこと

年金は額面がそのまま受け取れるわけではなく、税金と社会保険料が差し引かれます。手取りを守るために押さえておきたい点を整理します。

3.1 1.住民税非課税世帯の要件と優遇措置を知る

世帯全員の所得が一定以下になると住民税非課税世帯となり、住民税の負担がなくなります。それだけでなく、国民健康保険料や介護保険料の減免を受けられたり、高額療養費制度の自己負担限度額が低く設定されたりします。

3.2 2.年金収入のみでも住民税の申告をする

今回見た国民健康保険料のように、世帯の所得に応じて負担が軽くなる制度があります。ところが、収入が年金のみの場合や無収入の場合、申告をしていないケースが少なくありません。自治体が所得を把握できないと所得不明世帯となり、軽減が適用されない可能性があります。税金がかからない場合でも、申告しておくことで負担が減ることがあります。

3.3 3.退職後の健康保険は有利なほうを選ぶ

退職後の健康保険は、国民健康保険に加入するほか、前職の健康保険を任意継続する選択肢もあります。退職初年度は前年の所得が高いため、任意継続のほうが保険料が安くなるケースがあります。2年目以降は所得が下がり、国民健康保険のほうが安くなることもあります。両方の保険料を比べて、負担の少ないほうを選びましょう。

3.4 4.繰下げ受給のデメリットも知っておく

繰下げ受給は、本来65歳から受け取る年金を66歳から75歳の間に遅らせる制度です。繰り下げた月数に応じて年金額が増えます。

ただし、受給額が増えれば所得も増えるため、税金や社会保険料の区分が上がり、手取りは額面ほど増えない可能性があります。メリットだけでなく、この点も踏まえて判断してください。

4. まとめにかえて

今回は、国民健康保険料の軽減のしくみと、所得のボーダーラインを確認してきました。

軽減されるのは応益分で、前年の所得に応じて7割・5割・2割のいずれかが適用されます。1人世帯であれば所得43万円以下で7割、74万円以下で5割、100万円以下で2割が目安です。世帯人数が増えると基準額も上がります。

計算例で見たように、夫の年金収入170万円・妻80万円という世帯では総所得金額45万円となり、43万円をわずかに超えるため5割軽減の対象となりました。判定は世帯単位で、しかも細かい線引きがあります。

そして重要なのが申告です。世帯に1人でも未申告の方がいると所得不明世帯となり、軽減そのものが適用されません。

宗形 佑香里
確認していただきたいのは2つです。1つ目は、世帯全員が申告を済ませているか。収入がない方も含めてです。していない方がいれば、期限後申告や住民税の申告を市区町村の窓口で行ってください。

2つ目は、ご自身の世帯の総所得金額が基準のどのあたりにあるか。計算が複雑ですので、国民健康保険の窓口で確認するのが確実です。数万円単位で保険料が変わりますので、一度確かめてみる価値はあるでしょう。

老後の手取りを守るという観点では、住民税非課税世帯の要件、退職後の健康保険の選び方、繰下げ受給による所得の増加といった点もあわせて確認しておきたいところです。

まずは世帯全員の申告状況を確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

宗形 佑香里