2026年4月分(6月支給分)から、公的年金の額が改定されました。国民年金(基礎年金)は1.9%、厚生年金(報酬比例部分)は2.0%の引上げです。
一方で、改定の計算に使われた令和7年の物価変動率は3.2%でした。金額は増えているのに、物価の伸びには届いていません。
この記事では、令和8年度の改定率がどのように決まったのかを確認したうえで、マクロ経済スライドの仕組みを見ていきましょう。
なお、年金額の改定や年代別の平均年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 2026年度の年金額は国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%の引上げになった
まず、令和8年度の年金額がどう改定されたのかを確認します。
1.1 国民年金の満額は月7万608円になった
厚生労働省によると、令和8年度の老齢基礎年金の満額は1人分で月7万608円です。前年度の6万9308円から1300円上がりました。
なお、昭和31年4月1日以前生まれの方の満額は月7万408円です。厚生年金は夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額が月23万7279円で、前年度から4495円上がりました。
1.2 改定に使われたのは名目手取り賃金変動率の2.1%だった
年金額は、物価変動率か名目手取り賃金変動率に応じて毎年度改定されます。物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は、名目手取り賃金変動率を使うことが法律で定められています。
令和8年度は物価変動率が3.2%、名目手取り賃金変動率が2.1%でした。上回っているのは物価のほうなので、改定には2.1%が使われています。
2. 物価高に届かない理由「マクロ経済スライド」の仕組みとは
名目手取り賃金変動率が2.1%なのに改定率が1.9%になったのは、マクロ経済スライドによる調整が行われたためです。
2.1 公的年金被保険者総数の変動率0.1%と平均余命の伸び率▲0.3%で決まる
マクロ経済スライドは、公的年金被保険者数の変動と平均余命の伸びをもとにスライド調整率を設定し、賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から差し引く仕組みです。平成16年の年金制度改正で導入されました。
令和8年度のスライド調整率は▲0.2%で、内訳は公的年金被保険者総数の変動率0.1%と、定率である平均余命の伸び率▲0.3%です。名目手取り賃金変動率2.1%からこの0.2%を差し引いて、国民年金の改定率1.9%が決まりました。
2.2 物価変動率3.2%に対して改定率は1.9%にとどまった
金額としては引き上げられていますが、令和7年の物価変動率は3.2%です。改定率の1.9%との差は1.3ポイントあります。
マクロ経済スライドが発動されたのは、平成27年度、令和元年度、令和2年度、令和5年度、令和6年度、令和7年度、令和8年度の計7回です。
なお、厚生年金(報酬比例部分)のスライド調整率は▲0.1%でした。令和7年の年金制度改正により、次期財政検証の翌年度(令和12年度を予定)まで厚生年金の調整を継続することとしたうえで、この間の調整率を3分の1に緩やかにする措置がとられています。
改定の全体像については、LIMOの記事「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から要点を引用して確認しておきましょう。
公的年金の支給額は、毎年度、賃金や物価の変動に応じて改定されます。2026年度においては、国民年金(基礎年金)が前年度比で1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の増額となりました。
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
ご相談のなかで、年金額改定通知書を見て「増えているはずなのに楽になった気がしない」とおっしゃる方に多くお会いしてきました。
物価の伸びと改定率の差を知っておくと、その感覚に理由があることが分かります。家計を見直す順番も決めやすくなります。

