3. 【2026年最新ニュース】「給付付き税額控除」と「就業者負担軽減支援金」の動き

2026年9月15日、政府は「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」を正式に閣議決定しました。8月5日の基本方針決定や国と地方の協議を経て、本格的な「給付付き税額控除」の第一歩となる具体的な制度の枠組みが決定されました。

3.1 対象は「中低所得の現役勤労者」ー従来の支援とは逆の発想

今回の制度で着目されたのは、税や社会保険料の純負担率の改善が必要な「中低所得の現役勤労者」です。単に収入が少ない人を支援するのではなく、働いて負担を担っている人を対象とする点が大きな特徴です。

勤労所得の対象範囲

給与所得のほか、一定額を超える事業所得や業務に係る雑所得も含まれます。これにより、会社員だけでなく個人事業者やフリーランスも支援の対象となります。

純負担率に応じた支給

税・社会保険料の負担額から現金給付を差し引いた「純負担」を踏まえ、働くことで可処分所得(手取り)が増え、生活向上が実感できる仕組みを目指します。

3.2 非課税ライン以下は定額支給ー段階的な給付設計

給付額の決定ルールには、所得の把握に関する執行上の課題や就労促進の観点から、次のようなステップ構造が採用されています。

非課税ライン以下は定額

個人住民税所得割の非課税水準(単身者で給与収入119万円/所得45万円等)以下の層については、誤支給のリスクを防ぐため定額支給とされました。所得が低いほど給付が増えるのではなく、一定水準までは横並びとなります。

働けば手取りが増える「逓増」と「年収の壁」対策

一定所得を超えると給付額が増加(逓増)し、働くほど手取りが増える設計になっています。さらに、社会保険料の負担が生じる「年収106万円〜160万円」の層には「就業促進特例加算」が上乗せされ、手取りの逆転現象(働き控え)を防ぎます。

高所得層での逓減・消失

一定の所得基準(逓減開始額)を超えると給付額が段階的に減り、一定水準で給付がなくなる仕組みとなっています。

3.3 正式名称「就業者負担軽減支援金」としてスタート

9月15日の閣議決定により、本制度の正式名称は「就業者負担軽減支援金」として確定しました。

2027年4月からの「つなぎ措置」

2029(令和11)年度の本格導入に向けた先行実施として、2027(令和9)年4月から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げるとともに、消費税1%相当分の財源枠内で支援金が先行支給されます。

今後の確認ポイント

制度の骨格は固まりましたが、具体的な支給額の算定や所得上限などの細かな設定については、今後の予算編成等を通じて引き続き注視していくことが重要です。

4. FPが解説!制度改正期を乗り切る「3つの家計防衛策」

制度改正が続く時期は、「決まったこと」と「検討中のこと」を分けて情報を受け取ることが大切です。ここでは、3つのポイントをお伝えします。

4.1 自分は対象外だと決めつけず、情報をとる

これまで住民税非課税世帯を対象とした支援が多かったことから、課税世帯の方は「自分には関係ない」と感じるかもしれません。

しかし、現在検討されている新たな給付は、中低所得の現役勤労者の税・社会保険料負担を軽減する方向で制度設計が進められています。

これまで対象外だった方が、新たな制度では対象になる可能性もあります。制度の名称や導入時期など、今後の動向を確認しておきましょう。

4.2 決まっていない金額を家計に織り込まない

一方、検討段階の給付をあてにして家計を組んだり、目先の消費を増やしたりするのは避けたいところです。

9月8日には「就業者負担軽減支援金」の大綱案が公表されるなど具体化が進んでいますが、給付額や所得基準などは今後の制度設計で変わる可能性があります。

特に教育費や住宅費などの大きな支出は、将来受け取れるか分からない給付を前提にせず、現在の収入や資産をもとに判断することが重要です。

4.3 いま使える制度の確認を優先する

新しい制度を待つだけでなく、現在利用できる支援や負担軽減策も確認しておきましょう。

例えば、高額療養費ではマイナ保険証の利用や限度額適用認定証によって、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられます。

国民年金保険料の免除・納付猶予や国民健康保険料の軽減なども、それぞれの要件を満たせば利用できる制度です。非自発的失業者を対象とした国民健康保険料の軽減措置もあります。

将来の給付だけに注目するのではなく、現在利用できる制度に該当しないか確認することも、家計の負担を抑えるうえで大切です。

5. まとめにかえて

住民税の課税状況や所得区分によって、医療費などの負担に差が生じる場合があります。

ただし、住民税非課税世帯から外れたからといって、すべての支援が一斉になくなるわけではありません。制度によって所得基準や軽減方法は異なり、段階的に支援額が変わるものもあります。

こうした所得の境目で生じる負担の変化に対し、政府は中低所得の現役勤労者を対象とした新たな給付の制度設計を進めています。

本格的な「所得に連動したきめ細かな給付」は2029年度から導入する方針ですが、それに先立つ措置も予定されています。給付額や所得基準など、今後決まる内容もあるため、最新の公表資料を確認することが重要です。

加藤 聖人

制度による負担差を見ると、課税世帯の方が不公平感を抱くこともあるでしょう。ただ、自分は対象外と決めつけてしまうと、利用できる制度を見落とす可能性があります。

高額療養費をはじめ、国民年金保険料の免除・納付猶予や国民健康保険料の軽減など、現在利用できる仕組みもあります。新しい制度については、決定事項と検討中の案を区別しながら情報を確認していきましょう。

※給付付き税額控除などの情報は執筆時点での情報にもとづいています。

参考資料

加藤 聖人