4. 収入が下がっても、住民税と保険料が下がるのは翌年度から

60歳を境に給与が下がると、その月から家計は変わります。ところが負担のほうは同じようには動きません。役場で保険料の計算を担当していた立場から、この時間差について説明します。

4.1 個人住民税と保険料は前年の所得で決まる

個人住民税は、前年の1月から12月までの所得をもとに計算し、翌年6月から納めます。

国民健康保険料や後期高齢者医療保険料も、前年の所得を使って計算する仕組みです。

つまり、60歳で給与が下がった年に納めるのは、給与が高かった前年の所得にもとづく金額になります。

4.2 負担が重く感じやすいのは収入が下がった最初の1年

保険料の計算を担当していた頃、収入が下がったのに納付書の額が変わらないという問い合わせを受けることがありました。

前年の所得で計算しているという説明をすると、納得はしてもらえるものの、その年の家計が楽になるわけではありません。

下がった収入に見合う負担になるのは翌年度からなので、この1年分をどう乗り切るかをあらかじめ考えておきたいところです。

4.3 支払いが難しいときの相談先

国民健康保険料や後期高齢者医療保険料は、支払いが難しい場合に分割や減免を相談できます。

在職中の国家公務員は国家公務員共済組合の組合員なので、加入している共済組合が窓口になります。

退職して国民健康保険に移る場合は、住んでいる市区町村の窓口が相談先です。

5. 再任用で働くかどうかを決める前に確かめておきたい3つのこと

給与月額の水準がわかったところで、自分に置き換えて考えるときの確認点をまとめてみました。

5.1 手取りがいくらになるかを先に見る

別表第5の数値は給与月額であって、手取りではありません。

ここから共済組合の掛金や所得税、住民税が差し引かれます。

給与明細の控除欄を見て、いまの手取りと比べておくと、生活の変化を見積もりやすくなります。

5.2 フルタイムか短時間かで前提が変わる

別表第5の公務の数値は、フルタイム勤務の再任用職員のものです。

短時間勤務を選ぶ場合は、この数値をそのまま当てはめられません。

勤務時間の選び方によって、収入も社会保険の扱いも変わってきます。

5.3 年金の受け取りとあわせて考える

働きながら年金を受け取る場合は、収入によって年金の支給が調整される仕組みがあります。

受け取り方は一人ひとりの加入歴で変わるので、年金事務所や共済組合で自分の見込額を確かめておきましょう。

6. まとめ

人事院勧告の別表第5では、60歳以降にフルタイムで働く人の平均給与月額が、公務と民間で並べて示されました。

公務は課長補佐級39万1000円、係長級30万8000円、主任級以下26万円で、いずれも民間の再雇用者を下回っています。

ただし公務は令和8年3月時点、民間は令和6年から令和8年の3年平均と前提が異なるので、差の読み方には幅を持たせておきたいところです。

まずは自分の給与明細と年金の見込額を並べて、60歳以降の家計がどう変わるかを確かめるところから始めてみてください。

参考資料

太田 彩子