60歳を過ぎても働き続ける人が増えるなかで、気になるのはそのときの収入ではないでしょうか。

人事院は令和8年8月7日の勧告のなかで、公務における再任用職員と民間における再雇用者の平均給与月額を役職段階ごとに示しました。国家公務員の側は令和8年3月時点の実態調査にもとづく数値です。

この記事では、60歳以降にフルタイムで働く人の給与月額が、公務と民間でどう違うのかを確認していきましょう。

1. 人事院勧告に示された再任用職員の平均給与月額

まず、国家公務員の側の数値から見ていきます。人事院勧告の別表第5に、再任用職員の平均給与月額が役職段階ごとに示されています。

1.1 課長補佐級・係長級・主任級以下の3段階

公務員の平均給与月額は、課長補佐級が39万1000円です。

係長級は30万8000円、主任級以下は26万円となっています。

役職段階が1つ下がるごとに、およそ4万円から5万円の開きがある形です。

1.2 数値の前提は令和8年3月時点の調査

この数値は令和8年国家公務員給与等実態調査によるもので、令和8年3月時点のものです。

対象は再任用職員のうち、行政職俸給表(一)が適用されるフルタイム勤務職員に限られます。

短時間勤務の再任用職員や、ほかの俸給表が適用される職員は含まれていない点に注意が必要です。

60歳以降のフルタイム勤務者の平均給与月額。公務は令和8年3月時点、民間は令和6年から令和8年までの3年平均1/2

60歳以降のフルタイム勤務者の平均給与月額。公務は令和8年3月時点、民間は令和6年から令和8年までの3年平均

出所:人事院『令和8年人事院勧告 別表第5』を参考にLIMO編集部作成

2. 民間の再雇用者と比べると、3つの段階すべてで公務が下回る

同じ別表第5には、民間における再雇用者の平均給与月額も並べて示されています。比べてみましょう。

2.1 いちばん差が大きいのは課長補佐級の3万7000円

民間の平均給与月額は、課長補佐級にあたる課長代理級が42万8000円です。

公務の39万1000円と比べると、月3万7000円の開きがあります。

係長級は民間33万4000円に対して公務30万8000円で差は月2万6000円、主任級以下は民間28万8000円に対して公務26万円で差は月2万8000円です。

3つの役職段階すべてで、公務が民間を下回る結果になっています。

2.2 比べる前に確かめたい調査時点の違い

2つの数値は、集計のもとになっている時点がそろっていません。

公務は令和8年3月時点の1時点の数値であるのに対し、民間は令和6年から令和8年までの各年4月時点をならした3年平均です。

差の大きさをそのまま賃金水準の差と読むのではなく、こうした前提の違いも合わせて見ておきたいところです。

3つの役職段階を並べると、いずれも公務が民間を下回っている2/2

3つの役職段階を並べると、いずれも公務が民間を下回っている

出所:人事院『令和8年人事院勧告 別表第5』を参考にLIMO編集部作成

3. 役職段階の区分は行政職俸給表(一)の級で決まる

別表第5の「課長補佐級」「係長級」「主任級以下」という区分は、職員が実際に就いている役職名ではなく、適用される俸給表の級で分けられています。

行政職俸給表(一)の5級と6級が適用される職員が課長補佐級、3級と4級が係長級、1級と2級が主任級以下です。

民間側の「課長補佐級」は、職種別民間給与実態調査における「課長代理級」を指しています。

同じ言葉でも公務と民間で指しているものが少し違うので、数値を見るときは区分の定義も合わせて確認しておきましょう。

太田 彩子

給与が下がる時期に、保険料や住民税は前の年の所得で計算されます。役場で保険料の計算を担当していた頃も、この時間差についての問い合わせを受けることがありました。60歳以降の働き方を考えるときは、収入の額だけでなく、翌年度の負担まで見ておくと安心です。