3. 迫る「人生100年時代」今からできる備えを

冒頭で見た平均寿命は、あくまで0歳の平均余命です。65歳まで生きた人がその後どのくらい生きるのかは、同じ簡易生命表の別の数字で確かめられます。

「令和7年簡易生命表の概況」から、年金と貯蓄でまかなう期間の長さを確認したうえで、いまからできる備えを3つ挙げます。

3.1 65歳の平均余命は男19.68年、女24.52年に延びた

令和7年簡易生命表による65歳の平均余命は、男19.68年、女24.52年でした。65歳まで生きた人の平均は、84.68歳・89.52歳という計算になります。

特定の年齢まで生存する者の割合も公表されています。75歳まで生存する割合は男76.0%、女88.1%で、90歳までは男26.7%、女50.8%でした。

95歳までは男性の9.9%、女性の26.4%が生存する時代です。女性は4人に1人を超えます。

65歳で退職して90歳まで暮らすとすると、その期間は25年です。人生の約4分の1を年金と貯蓄で生活することになります。

3.2 ねんきん定期便とねんきんネットで自分の額を確かめる

1ページ目で見た金額はいずれも平均です。自分がいくら受け取れるのかは、ねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。

すでに受給している場合は、毎年6月に届く年金振込通知書で振込額そのものが分かります。額面ではなく振込額を家計の前提にしておくと、見通しがずれにくくなるでしょう。

夫婦の場合は、それぞれの分を合算して世帯としての年金額を出しておくことも大切です。片方が国民年金のみであれば、世帯の年金額は厚生年金2人分の世帯とは大きく変わります。

3.3 運用益が非課税になる制度を取り崩しの前提とあわせて考える

貯蓄を増やす手段としては、運用益が非課税になるNISAやiDeCoがあります。NISAはつみたて投資枠と成長投資枠があり、iDeCoは掛金が所得控除の対象になる点が異なります。

ただしiDeCoは原則60歳まで引き出せず、どちらも元本が保証される制度ではありません。70歳代からの取り崩しを控えている時期であれば、いつ使うお金なのかを分けたうえで金額を決める形が現実的でしょう。

どの制度をどう組み合わせるかは、世帯の年金額と貯蓄残高、そして取り崩しを始める時期によって変わります。判断に迷う場合は、金融機関の窓口や公的な相談窓口で確認しておくと安心です。

3.4 配偶者が亡くなったあとの年金額を先に確かめておく

1ページ目でも触れたとおり、夫婦のどちらかが亡くなると世帯で受け取る年金の額は変わります。遺族厚生年金の対象になる場合もありますが、2人で受け取っていた合計額よりは少なくなります。

世帯としてどのくらいの年金額になるのかは、年金事務所や街角の年金相談センターで確認できます。早めに把握しておくと、そのあとの見通しが立てやすくなるでしょう。

4. まとめ

令和6年度末現在、70歳代の平均年金月額は国民年金が5万8676円から6万1011円、厚生年金が14万5583円から15万3115円の範囲にありました。1歳ごとに見ても、水準そのものは大きく動いていません。

貯蓄は平均2416万円、中央値1178万円で、3000万円以上が25.2%を占める一方、1000万円未満も44.1%あります。中央値の1178万円を月5万円ずつ取り崩すと、およそ19年7カ月でなくなる計算です。

65歳の平均余命は男19.68年、女24.52年に延び、95歳まで生存する割合は女性で26.4%になりました。「老後は遠い未来」ではなく、確実に来る可能性の高い第2の人生として、いまのうちに世帯の年金額と貯蓄残高を並べて確かめておきたいところです。

参考資料

和田 直子