65歳から年金を受け取り始めると、そこから先の生活は年金と貯蓄で組み立てることになります。その期間がどのくらいなのか、あらためて数えてみたことのある方は多くないでしょう。
厚生労働省が2026年7月に公表した「令和7年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男81.35年、女87.33年でした。65歳から平均寿命までを引き算すると、男は約16年、女は約22年になります。
この記事では、その期間を支える70歳代の年金と貯蓄がいくらなのかを、公的統計の数字で確認していきます。
なお、年金額と貯蓄額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 70歳代は厚生年金と国民年金をいくら受給しているのか、1歳ごとに確認する
老後生活の柱となるのは年金です。まずは厚生労働省の「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、70歳代の国民年金と厚生年金の金額を1歳ごとに見ていきましょう。
いずれも令和6年度末現在の受給権者の数値です。
1.1 国民年金のひと月の受給額
国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、70歳から79歳まで次のようになっています。
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
いずれの年齢も5万円台から6万円台の前半にとどまっています。国民年金全体の平均年金月額は5万9310円でした。
1.2 厚生年金のひと月の受給額
続いて厚生年金(第1号)の平均年金月額です。こちらの金額には国民年金(基礎年金)の月額が含まれています。
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
平均で国民年金は5万円台から6万円台、厚生年金は14万円台から15万円台でした。
夫婦であれば年金だけで生活できる場合もありますが、貯蓄を取り崩す人も少なくないでしょう。配偶者が亡くなってひとりになった場合には遺族年金もありますが、夫婦でいたときよりも年金額は減ります。
また、ここまでの金額はいずれも額面です。年金からの天引きについては、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。
年金額が一定以上(65歳以上で年額18万円以上など)の場合、以下の項目が年金から直接天引き(特別徴収)されます。これにより、手取り額は額面の約80%〜85%に目減りします。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
では、70歳代はどれくらい貯蓄を保有しているのでしょうか。
2. 【円グラフで見る】リアルな今の70歳代の貯蓄分布
70歳代の貯蓄について、金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」2025年調査から円グラフで確認しましょう。
世帯主が70歳代の1083世帯を集計したもので、金融資産を保有していない世帯も含んだ数値です。
2.1 70歳代世帯の金融資産保有額
まず平均値と中央値は次のとおりでした。
- 平均2416万円
- 中央値1178万円
分布を見れば「3000万円以上」が25.2%、「2000~3000万円未満」が12.3%です。一方で金融資産を保有していない世帯も10.9%あり、1000万円未満は44.1%と全体の4割強を占めます。
より実態に近い中央値は1178万円でした。貯蓄が1178万円の場合、たとえば月5万円ずつ取り崩していくと、およそ19年7カ月で貯蓄がなくなります。
この水準について、LIMOの記事「【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」」から引用します。
70歳代・二人以上世帯では、平均が2416万円、中央値が1178万円です。60歳代より平均・中央値ともに低下しており、退職後に生活費や医療費などで資産を取り崩している世帯が増えていると考えられます。
出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」
貯蓄は生活費だけでなく、趣味や旅行、付き合いや孫へのプレゼント、病気や介護が必要になったときにも使うでしょう。中央値を見ると心もとない金額に感じる方も少なくないのではないでしょうか。
銀行で資産運用のアドバイザーをしていた頃、退職後の資金計画をご相談いただく際は、世帯の年金額と貯蓄残高を必ず同じ紙の上に並べていただいていました。
どちらか一方だけを見ていると、取り崩しのペースが決まらないためです。


