「要介護度は、本人がどれだけ自分のことをできるか、家族がどれだけ大変かで決まるはず」——そう思っていると、実際の認定結果に納得できないことがあるかもしれません。要介護度は、本人の「大変さ」の主観ではなく、介護にかかる手間を分単位で推計する統計的な指標をもとに判定されているからです。
この記事では、要支援・要介護の区分がどのような仕組みで決まるのか、厚生労働省の公式資料にもとづき編集部が整理します。介護費用は総額いくらかかるかを整理した別記事もあわせてご覧ください。
1. 要介護度は「介護の手間」を分単位で推計した指標で決まる
厚生労働省の資料によると、要介護度の判定には「要介護認定等基準時間」という指標が使われます。これは、実際にかかる介護時間そのものではなく、認定調査の結果をもとに、入浴・排せつ・食事などの介助にどれだけの時間がかかるかを、統計データに基づいて推計した時間です。
「介護してくれる家族がいないから、要介護度は高くなるはず」と考えていると、実際には家族の有無や大変さの主観ではなく、本人の身体状況・認知機能をもとにした基準時間で判定される点に戸惑うことがあります。あくまで本人の状態そのものを評価する仕組みです。
2. 【編集者の視点】
実務上、認定調査の際は、本人が調査員の前では普段よりしっかり振る舞ってしまい、実態より軽い調査結果になることがあります。家族が普段の様子を具体的なエピソードとともにメモしておき、調査に立ち会って伝えることが大切です。
※本記事は、厚生労働省が公表する公式の最新情報を直接確認の上、執筆・検証しています。
3. 判定は「一次判定(コンピュータ)」と「二次判定(専門家会議)」の2段階
要介護度の判定プロセスは2段階になっています。まず、市区町村の認定調査員による聞き取り調査とかかりつけ医の意見書の内容を、国が定めたソフトウェアに入力し、要介護認定等基準時間を推計します(一次判定)。その後、医師などの専門家で構成される介護認定審査会が、一次判定の結果と主治医意見書の内容などを踏まえて、最終的な要介護度を決定します(二次判定)。
「コンピュータが機械的に決めているだけ」と思っていると、実際には二次判定で専門家による見直しが加わっており、一次判定の結果がそのまま確定するわけではない点を見落としがちです。
3.1 【要介護度の判定プロセス】
- 一次判定:認定調査・主治医意見書の内容を国のソフトウェアに入力し、要介護認定等基準時間を推計
- 二次判定:介護認定審査会(専門家会議)が一次判定の結果等を踏まえて最終決定
4. 要支援と要介護、7段階の区分はどう分かれるか
判定の結果、要介護度は「非該当(自立)」を除くと、要支援1・2、要介護1〜5の7段階に分かれます。一般的に、要支援は日常生活の一部に手助けが必要な状態、要介護は日常生活を送る上でより本格的な介護が必要な状態とされ、数字が大きくなるほど、より多くの介護の手間がかかると評価されたことを意味します。
「要支援と要介護は、単に軽い・重いの違いだけ」と捉えていると見落としがちですが、要支援は介護予防を目的とした「介護予防サービス」、要介護は「介護サービス」というように、利用できるサービスの体系自体が区分によって分かれています。
4.1 【要支援・要介護の区分とケアプラン担当窓口】
- 要支援1・2:介護予防サービス/地域包括支援センターがケアプランを担当
- 要介護1〜5:介護サービス/居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを担当
5. 【編集者の視点】
実務上、要支援と要介護では、ケアプランを作成する担当窓口も異なります。区分によって窓口が変わることは、意外と知られていません。転居や区分変更で担当が切り替わる際は、これまでの経過を新しい窓口にきちんと引き継いでもらうことも大切です。実際に利用できるサービスの一例はデイサービスの仕組みと料金を整理した別記事もあわせてご覧ください。
6. 状態が変わったら、更新を待たずに「区分変更申請」ができる
もう一つ見落とされがちなのが、要介護認定には有効期間があり、原則として更新のタイミングまで区分は変わらないと思われがちな点です。しかし、厚生労働省の資料によると、有効期間の途中で心身の状態が大きく変化した場合は、更新を待たずに「区分変更申請」を行うことができます。
「認定の更新は半年〜1年に一度だから、それまでは今の区分のままで我慢するしかない」と思い込んでいると、状態が悪化して必要な介護サービスの量が増えたときに、実際の状態に見合わないケアプランのまま過ごしてしまうことがあります。入院・退院を機に状態が変わった場合や、急に介護の手間が増えたと感じた場合は、区分変更申請を検討する価値があります。
7. 【編集者の視点】
実務上、区分変更申請をすると、通常の認定申請と同様に認定調査・主治医意見書の手続きが再度必要になります。結果が出るまで一定の日数がかかるため、状態の変化に気づいたら早めに担当のケアマネジャーに相談し、申請の準備を進めておくとよいでしょう。
介護保険サービスの自己負担割合の基本については、介護保険料は40歳から天引き開始。自己負担割合の基本を整理した別記事もあわせて確認してみてください。
8. まとめ
- 要介護度は、本人の主観的な大変さではなく、「要介護認定等基準時間」という統計的な指標で判定されます。
- 判定は、コンピュータによる一次判定と、専門家会議による二次判定の2段階で行われます。
- 状態が大きく変化した場合は、更新を待たずに「区分変更申請」を行うことができます。
「要介護度は感覚的に決まっている」と思っていると、認定結果に納得できないことがあります。判定の仕組みそのものを知っておくと、認定調査に臨む際の心構えも変わってきます。
状態が変わったと感じたら、更新のタイミングを待たず、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに区分変更申請の相談をしてみることをおすすめします。
9. よくある質問
9.1 Q. 要介護度は、本人や家族の大変さの申告で決まりますか。
A. 直接そうではありません。認定調査の結果等をもとに推計する「要介護認定等基準時間」という統計的な指標で判定されます。
9.2 Q. 要介護度はコンピュータだけで決まりますか。
A. いいえ。コンピュータによる一次判定の後、介護認定審査会という専門家会議による二次判定で最終的に決定されます。
9.3 Q. 要支援と要介護は、単に軽い・重いの違いだけですか。
A. 数字が大きいほど介護の手間が多いと評価された結果ですが、要支援は介護予防サービス、要介護は介護サービスというように、利用できるサービスの体系自体も異なります。
9.4 Q. 認定の更新を待たずに区分を見直してもらうことはできますか。
A. できます。有効期間の途中で心身の状態が大きく変化した場合は、「区分変更申請」を行うことができます。
参考資料
齊藤 慧
