4. 東京23区の中古マンション価格は6年半で2.4倍に
今回の調査結果の背景には、東京圏を中心としたマンション価格の上昇があります。
LIFULL HOME'S総研フェローの中山登志朗氏は、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、新築マンション価格が急騰し、それに連動する形で立地条件の良い中古マンションの価格も上昇したと解説しています。
中山氏によると、2000年代に大量供給されたマンションが築20年前後となり、ライフステージの変化に伴って売却を検討する人が増える一方、都心周辺や各市街地中心部などでは中古マンション価格が上昇。こうした価格上昇が売却を後押ししているといいます。
実際、LIFULL HOME'Sに掲載された東京23区のファミリー向け中古マンションの平均価格は、2020年1月の4945万円から2026年7月には1億1846万円まで上昇しました。
約6年半で6901万円、倍率にすると約2.4倍です。一方、2026年1~7月の東京23区における新築マンションの平均価格は1億5243万円となっています。
中山氏は、新築マンション価格の高騰を受け、中古マンションに需要がシフトしたことも中古価格上昇の要因として挙げています。
新築と中古の価格差が広がれば、「新築では手が届きにくいものの、中古なら購入できる」という需要が生まれます。その結果、利便性の高いエリアや条件の良い中古マンションには購入希望者が集まりやすくなり、価格を押し上げる要因になっています。
5. 売却を前提にしたマンション購入で注意すべき点は?
今回の調査対象は「東京圏」に限られていますが、「売却を前提に購入する」という考え方は、他の地域にも広がっていくのでしょうか。
中山氏は、大阪市、名古屋市、福岡市などの中心部では、ファミリー層の転入超過が見られ、築浅マンションも数多くあるため、売却価格次第では東京圏とほぼ同様の動きが出てくる可能性があると見解を示します。
ただ、マンション価格が下落すれば、当然ながら売却を前提とした購入にはリスクが生じることになります。
住宅ローンの残高よりもマンションの売却価格が低くなる「オーバーローン」の状態では、売却代金だけでローンを完済できません。その場合は自己資金を追加する必要があり、売却そのものを断念せざるを得ないケースもあります。
中山氏は、都心や市街地中心部、その周辺、駅徒歩10分以内など、生活・交通の利便性が確保された物件は比較的強みを持ちやすい一方、こうした条件から外れる物件や狭小・築古物件は価格下落のリスクが高まりやすいと指摘しています。
売却を前提にマンションを購入するなら、市場全体の価格上昇だけを見るのではなく、個別の物件に「将来も買い手がつく理由」があるかを考えることも重要になってきます。
参考資料
- 株式会社LIFULL
- 【ホームズ】不動産売買・賃貸物件・住宅情報サイト
- 株式会社LIFULL「『売却前提』のマンション購入が51.9%と過半数に!LIFULL HOME'Sが『東京圏のマンションの売却に関する意識調査』を発表」
大蔵 大輔