マンション価格の上昇が続くなか、住宅ローンをめぐっても金利上昇への警戒感が強まっています。住宅購入を検討している方のなかにも、「本当に購入すべきなのか」「いつ買うのが正解なのか」と悩んでいる方は少なくないでしょう。
特に都市部の新築マンション価格は記録的な高値を更新し続けており、手が届きにくい存在になりつつあります。そうしたなか、住まい探しの選択肢として存在感を高めているのが、「中古マンションを購入してリノベーションする」という方法です。
今回は中古マンション探し+リノベーションのワンストップサービスを提供しているリノベる株式会社のホームソリューション本部 ソリューションプランニング部 齋藤高央部長に、「中古マンション+リノベ」が注目を集めている理由を聞きました。
- 情報の多さが「選択のストレス」に。住まい探しの価値観にメンパ重視の傾向
- 「持ち家=資産形成」はより保険的かつ長期的な意味合いが強まっている
- 「中古+リノベ」はこだわり派だけのものではない?現実志向の新しいニーズが発生
1. コスパ・タイパの次は「メンパ」? 情報量の多さが選択のストレスに
近年は、費用対効果を重視する「コストパフォーマンス(コスパ)」、時間効率を重視する「タイムパフォーマンス(タイパ)」が、大きな消費トレンドになっています。
そして、消費者心理の変化を表すキーワードとして最近よく目にするようになったのが、「メンタルパフォーマンス(メンパ)」です。「心理的負担を減らし、快適さや安心感を求める」といった意味合いで使われており、選択のストレスなどもその中に含まれています。
背景の一つにあるのが、情報量の増加です。
昨今はテクノロジーの発達により、情報収集の手段が飛躍的に増えました。住宅ローンについてAIに質問すればさまざまな選択肢を教えてくれますし、SNSを開けばおしゃれなリノベーション事例や理想の住まいが次々と目に入ります。
しかし、情報が増えることと、決断が簡単になることは必ずしも同じではありません。
齋藤部長は「情報収集がしやすくなった一方で、最終的に何を選び、どう決めるのかという部分では、悩みを抱えている人は多いです。住宅購入は金額が大きいだけに、情報を集めた後の意思決定をどう支えるかが重要になってきます」と話します。
住宅購入では、物件、エリア、広さ、築年数、住宅ローン、将来の暮らし方など、決めるべきことが多岐にわたります。選択肢が増えた現代だからこそ、「どれが一番正しいのか」を考え続けること自体が心理的な負担になります。
物件価格の高騰や住宅ローン金利の上昇といった問題が先行きの読めないものであることも、選択の負担を重くしています。
2. 「100点の家」は難しい。だからこそ「何を捨て、何を守るか」が重要
特に住宅価格が高い東京都心部では、すべての希望を満たす物件を探すのは簡単ではありません。駅から近い。広い。築年数が浅い。価格が予算内。人気エリアにある。将来的な資産性も期待できる…条件を並べれば並べるほど、住宅探しの難易度は上がります。
「23区で自分が希望する条件をすべて満たして家を買うのは、現状ではかなり難しいでしょう。広さ、価格、築年数、駅からの距離など、すべてで100点を目指すのではなく、何を優先するのかを考える必要があります」(齋藤部長)
そこで重要になるのが、「何を捨て、何を守るか」という考え方です。
「特に都市部の物件に関しては、全部で100点を求めるのではなく、何が一番大事なのかを整理し、何を実現するのかを考える必要があります。選択の負荷を減らすことができれば、それが納得感や安心感につながっていきます」(齋藤部長)
ここでポイントになるのが「誰にとっても正しい家」ではなく「自分にとって価値のある家」を探すということです。
通勤時間を短くすることを最優先にする人もいれば、多少駅から離れても広さを確保したい人もいます。何に重きを置くかは人それぞれです。住宅選びにおける「メンパ」は、外からの情報を頼りにするだけでなく、自分の内の声に耳を傾けることも求められます。

